6月の自動車販売、新型コロナ禍の影響で引き続き大幅な落ち込み

(インド)

ベンガルール発

2020年07月29日

インド自動車工業会(SIAM)は7月14日、6月の自動車統計を発表した。乗用車販売台数〔スポーツ用多目的車(SUV)とバンを含む〕は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、前年同月比49.6%減の10万5,617台と、前月に続き大幅な減少を記録した(添付資料表1参照)。うち、一般乗用車は58.0%減の5万5,497台、バンは62.1%減の3,919台と、それぞれ6割前後も減少した。SUVは31.2%減の4万6,201台で、減少幅は最も小さかった。全土封鎖(ロックダウン)の影響で引き続き販売台数の落ち込みは顕著だが、販売台数がゼロだった4月、前年同月比約85%減を記録した5月より、減少幅は大きく縮小した。

主要メーカー別でみると(添付資料表2参照)、首位のマルチ・スズキは53.8%減の5万1,274台、2位の現代自動車が49.2%減の2万1,320台、3位のマヒンドラが57.1%減の8,075台など、軒並み大幅に減少したが、4月と5月に比べ、各メーカーの販売に持ち直しの傾向が見られ、減少幅は縮小している。5月以降、ロックダウン緩和に伴って各メーカーは生産・販売を再開しているが、サプライチェーンや物流、労働力不足など、いまだ複数の問題が残っており、工場がフル稼働に達するまで時間がかかりそうだ。

二輪車部門の6月の販売台数も、38.6%減の101万3,431台にとどまり、引き続き大幅に減少したが、5月の販売台数(約28万台)に比べると3倍以上の水準に回復した。うち、スクーターの販売台数が前年同月比47.4%減の26万9,811台、オートバイは35.2%減の70万2,970台だったSIAMによると、地方部では需要が既に回復基調にあり、政府による農業セクターへの経済支援策の発表やモンスーン期の降雨量見通しが明るいことなどから、今後、地方部のさらなる需要増を後押しするとみている。

商用車の6月の販売実績は発表されていないが、乗用車、二輪車、三輪車を含む6月の自動車販売は40.9%減の112万9,348台だった。今後も新型コロナウイルス感染拡大や不況の長期化などの懸念が残るため、販売は低水準で推移するとみられており、SIAMの推定によると、2018年度の水準に戻るには3~4年間かかるという。4~6月の販売台数は、乗用車が前年同期比78.4%減、二輪車が74.2%減、商用車が84.8%減となっており、2020年度通年ではセグメントによって売り上げが26~45%落ち込むと予想されている。

(ディーパック・アナンド)

(インド)

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