新内閣発表、新型コロナ禍で継続性を重視

(シンガポール)

シンガポール発

2020年07月29日

シンガポールのリー・シェンロン首相は7月25日、27日付発足の新内閣閣僚名簿を発表した。新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒する中で7月10日に議会選挙に踏み切り、リー首相率いる与党・人民行動党(PAP)が定数93のうち83議席を獲得して勝利していた(2020年7月15日記事参照)。

首相は会見で新内閣の人選について、「新型コロナウイルス危機」に対応するに当たっての「継続性」と、若手閣僚の担当替えによる「経験の蓄積」、新人や議員の登用による「刷新」の3つを考慮したと述べた。上級相の2人と、新型コロナウイルスに関する危機対策を直接担当している保健相や、貿易産業相、人材相、国防相、外相、法相兼内相、情報通信相は留任した。ヘン・スイキャット副首相兼財務相は新たに経済政策調整相を兼務した。

運輸相だったコー・ブンワン氏が今回の選挙を機に政界を引退したため、後任にオン・イエクン教育相が就任。教育相にはローレンス・ウォン前国家開発相が就いた。国家開発相はデスモンド・リー前社会家庭開発相が務める。

今回の選挙で政界入りしたタン・シーレン氏が入閣したほか、エドウィン・トン氏とマリキ・オスマン氏の2人が副大臣に相当する上級国務相から閣僚に昇格した。

現在68歳のリー首相は首相交代の時期について、「これまでに70歳になる前に交代したいと述べてきたが、新型コロナウイルスの状況がこの先どうなるかを見通すことはできない」と語り、新型コロナウイルスが収束するまで首相を務める考えを示唆した。チャン・チュンシン貿易産業相は後継首相の有力候補のヘン副首相への支持を「変更する計画も話し合いもしていない」と述べ、同副首相支持を強調した。

7月27日付で発足した新内閣の顔ぶれは以下のとおり(かっこ内は年齢、首相府報道発表と「ストレーツ・タイムズ」紙より)。

首相:リー・シェンロン(68)

副首相兼財務相兼経済政策調整相:ヘン・スイキャット(59)

上級相兼国家安全保障調整相:テオ・チーヒエン(65)

上級相兼社会政策調整相:ターマン・シャンムガラトナム(63)

国防相:ウン・エンヘン(61)

外相:ビビアン・バラクリシュナン(59)

法相兼内相:K・シャンムガム(61)

保健相:ガン・キムヨン(61)

情報通信相(兼貿易産業省貿易担当大臣):S・イスワラン(58)

貿易産業相:チャン・チュンシン(50)

運輸相:オン・イエクン(50)

環境持続相:グレース・フー(56)

社会・家庭開発相兼第2保健相:マサゴス・ズルキフリ(57)

教育相兼第2財務相:ローレンス・ウォン(47)

国家開発相(兼社会・家庭開発省社会サービス担当大臣):デスモンド・リー(44)

人材相第2内相:ジョセフィン・テオ(52)

文化・コミュニティー・青年相兼第2法相:エドウィン・トン(50)

首相府相兼第2財務相兼第2国家開発相:インドラニー・ラジャ(57)

首相府相兼第2教育相兼第2外相:マリキ・オスマン(55)

首相府相兼第2人材相兼第2貿易産業相:タン・シーレン(55)

(本田智津絵)

(シンガポール)

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