新型コロナ対策で船員交代用に特別の出入国レーンを設置

(フィリピン)

マニラ発

2020年07月10日

フィリピン政府は7月2日、新型コロナウイルス感染防止の観点から、船員が円滑かつ安全に交代できるよう、船員専用の出入国特別レーンを設けると発表した。

フィリピン人の船員が国内外の船舶に乗船する場合、まず感染テストを行う。保健省の施設で自主隔離を行った後、検査結果が陰性の場合は乗船地に向かう。

また、フィリピン人の船員がフィリピンに停泊する船舶から下船する場合、船舶または入国する港の施設でPCR検査を受ける(公的医療保険で負担)。その後、保健省の施設または船舶内で自主隔離を行い、検査結果が陰性の場合は、検疫所が下船許可を港湾庁および入国当局に提出し、自宅など目的地に移動する。

さらに、フィリピン人船員がフィリピン国内で乗り継ぎを行う場合、船員は特別レーンを使って入国手続きを済ませ、入国後6時間以内に乗り換え先の空港/港へ移動し、出発地の空港/港でも特別レーンを使って出国手続きを行う。

このほか、外国人船員の乗船、下船、乗り継ぎについても特別レーンの使用が想定されている。いずれの場合においても、船員配乗会社が窓口となり、出入国する船員の名簿を政府関連当局に提出するほか、交通手配や関連費用の負担を行う。

世界の船員約120万人のうち、フィリピン人は約23万人で最多だ。日本の商船会社でも事情は同じで、乗務員約5万6,000人の7割以上をフィリピン人が占める。フィリピンで船員の交代が円滑に行われることは世界の海運の安定につながり、また、フィリピン国内の感染拡大防止にも寄与する。

(石原孝志)

(フィリピン)

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