EU・英国、将来関係交渉にかかる集中協議1週目は進展みられず

(EU、英国)

欧州ロシアCIS課

2020年07月07日

EUと英国との将来関係に関する、新型コロナウィルス感染拡大後初となる対面協議が6月29日~7月2日にブリュッセルで実施された。交渉会合としては、6月2~5日にテレビ会議形式で実施された第4回会合(2020年6月8日記事参照)以来で、今回は双方の専門家の参加人数を限定した会合(Restricted round)として、「公平な競争環境」「漁業」「物品貿易」「サービス貿易と投資」「犯罪事件に関する法および司法協力」「エネルギーおよび輸送」などテーマを絞って議論が行われた。

いまだ程遠い合意への道程

欧州委員会のミシェル・バルニエ首席交渉官は、今回の会合の目標について、6月15日にテレビ会議形式で開催された首脳会談(2020年6月16日記事参照)に基づき、停滞するEU・英国間の将来関係交渉を、合意に達するための軌道に乗せることだった、と説明。ただ、7月2日までの会合を終えた声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、EU英国間で依然として深刻な立場の相違が残ったことを明らかにし、合意に向けた大きな進展がなかったことをにじませた。同首席交渉官は、政治宣言に基づくEUの立場として、(1)国家補助を含む公平な競争条件の保証、(2)EU側の漁業従事者のための持続可能で長期的な解決策、(3)包括的な制度的枠組みと効果的な紛争解決メカニズム、が経済パートナーシップの前提になる点を強調するとともに、引き続き全ての分野の並行的な進展も重視する立場をあらためて示した。加えて、EU側としては、英国のボリス・ジョンソン首相が求める早期の政治合意と、英国側の「譲れない一線(レッドライン)」であるEU司法裁判所(CJEU)の不介入、EU法の不拘束、およびEU離脱に伴う漁業協定の真の変化について注意深く耳を傾けてきたとして、英国側の立場を尊重する姿勢を強調し、英国側にEUの立場について同様の理解と尊重を求めた。

EUと英国の双方は、6月15日の首脳会談後の共同声明において、英国がEU離脱(ブレグジット)後の移行期間を延長しないと決定したことを確認しており、2020年内の合意に向け、9月まで協議を継続する予定だ。双方は、7月20日の週にロンドンで予定される第5回会合に向け、今週もロンドンで協議を継続する。

(根津奈緒美)

(EU、英国)

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