オーストラリア政府、最新の経済・財政見通しを発表

(オーストラリア)

シドニー発

2020年07月30日

オーストラリア連邦政府は7月23日、最新の経済・財政見通しを発表し、財政赤字が2019/2020年度(2019年7月~2020年6月)に858億オーストラリア・ドル(約6兆4,350億円、豪ドル、1豪ドル=約75円)、2020/2021年度には1,845億豪ドルに上るとの見通しを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の落ち込みによって税収が減少することに加え、経済対策などの財政支出によって赤字幅が拡大すると見込んでいる。

経済見通しについては、2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率を前期比マイナス7%と見込み、第1四半期(1~3月)のマイナス0.3%に続く2四半期連続のマイナス成長となることから、景気後退入りは確実だとしている。第3四半期(7~9月)以降は、制限緩和に伴う経済活動の再開によって次第に回復すると予測しており、2020年通年でマイナス3.75%となった後、2021年には2.5%にプラス転化すると見込んでいる。また、新型コロナウイルスによる経済的影響が最も大きかったのは雇用で、特に女性、若者、未熟練労働者が影響を受けるとともに、宿泊・飲食サービス業での雇用喪失が最大だったと分析している。失業率は、2020年第4四半期(10~12月)にピークを迎え、9.25%に達すると予測している。

ただし、これらの見通しは、連邦政府による総額2,890億豪ドル(GDPの14.6%相当)の経済支援策の効果を踏まえたもので、支援策がなければオーストラリア経済はさらに深刻な影響を受けていた可能性があるとしている。連邦政府は、支援策による実質GDPの押し上げ効果を、2019/2020年度に約0.75%、2020/2021年度に約4.25%と見込んでおり、失業率のピークも約5ポイント抑えられると予測している。

なお、連邦政府は、見通しは「非常に不確実なままだ」として、今回は2020/2021年度までの予測値の公表にとどめており、それ以降の見通しについては、10月6日に発表予定の2020/2021年度予算案(注)とともに公表するとしている。

(注)連邦政府は、2020/2021年度(2020年7月~2021年6月)予算案の公表を2020年10月6日まで延期すると発表している。例年、次年度の予算案は5月の第2火曜日に公表されているが、新型コロナウイルスの感染拡大とその経済的影響によって不確実性が高まっていることから、「今後数カ月で予算案を策定することは非常に困難」と説明している。

(住裕美)

(オーストラリア)

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