メード・イン・チリの人工呼吸器製造へ向けて

(チリ)

サンティアゴ発

2020年07月13日

アンドレス・クブ科学・技術・知識・イノベーション相は、7月8日に国内における人工呼吸器の製造へ向けた取り組みの進捗について発表した。チリでは、新型コロナウイルス感染拡大を背景とし、国内で需要が急増した人工呼吸器の不足を賄うべく、保健省を中心に諸外国からの積極的な調達が進められてきた。その背景として、国内に自動車や精密機器などの付加価値の高い製品を生み出す製造業が根付いていない点が挙げられるが、本プロジェクトは、科学・技術・知識・イノベーション省、経済・振興・観光省が中心となった官民の協力によって、メード・イン・チリの人工呼吸器を製造する態勢を整え、社会課題の解決を図ろうというものだ。

進捗について言及されたのは、元々の35件の中から選抜された2つのプロジェクトで、サンティアゴにおける民間企業DTS、航空関連の国営企業エナエル(ENAER)、チリ国軍へ武器などを供給する国営企業のファマエ(FAMAE)の3者の協力によるものと、コンセプシオンにおける国営造船会社のアスマル(ASMAR)とコンセプシオン大学の共同プロジェクトだ。前者は現在チリ大学の付属病院にて、臨床試験の最終段階に入っており、後者は既に臨床試験を終え、今後3週間以内に製造が開始される予定となっている。

(佐藤竣平)

(チリ)

ビジネス短信 ce1a0cfab548f7b0