自動車メーカーに新たな上場企業が誕生、電気自動車(EV)のフィスカー

(米国)

ニューヨーク発

2020年07月17日

米国カリフォルニア州ロサンゼルスに本拠地を置く電気自動車(EV)新興メーカーのフィスカーは7月13日、ニューヨークにある大手投資ファンドのアポロ・グローバル・マネージメント傘下の特別目的買収会社スパータン・エナジー・アクイジションとの合併契約を行い、ニューヨーク証券取引所に上場したことを発表した。合併後の株式価値は約29億ドルとなる。今回の上場で、フィスカーは10憶ドル超の資産調達が可能となり、2022年後半に予定しているEV「オーシャン」の生産開始に向け準備を進めていく。

写真 2022年生産開始予定のCUV「オーシャン」(フィスカー提供)

2022年生産開始予定のCUV「オーシャン」(フィスカー提供)

<初モデルは3万ドル台のクロスオーバーSUV>

フィスカーは、アストン・マーチンなどの元デザイナー、ヘンリク・フィスカー氏が2016年に創設した新興企業。前身のフィスカー・オートモーティブでは、ハイブリッドの高級スポーツカーなどを手掛けて注目を集めたものの、2013年11月に連邦破産法第11条を申請したという経緯がある。今回は、米国で人気車種のクロスオーバー・スポーツ用多目的車(SUV)に焦点を当て、EVとしては比較的低水準の3万7,000ドル台に価格を抑えるほか、「消費者が利用しやすい独自の柔軟な」リースプログラムを月額379ドルで提供する。会長兼最高経営責任者のフィスカー氏は「資金調達、製品計画、ブランド開発は軌道に乗った。全ての人々にクリーンな将来を、というわれわれのビジョンを前進させ、世界で最も持続可能な車両を商品化させていく」と意気込む(プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)7月13日)。

最近では、6月3日に燃料電池車(FCV)トラックメーカーのニコラ(アリゾナ州)が、フィスカーと同様に、特別目的買収会社と合併し、新興企業向け株式市場のナスダックに上場して7億ドルを調達した。FCV用水素ステーション施設の建設や、2021年以降、新たにEVトラックなどの市場投入を計画中だという。新興自動車メーカーの今後の動向が注目される。

(大原典子)

(米国)

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