インドネシアが上位中所得国入り

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年07月13日

世界銀行は7月1日、インドネシアを下位中所得国から上位中所得国に引き上げた。世界銀行では、1人当たり国民総所得(GNI)を基準として4,046ドルから1万2,535ドルまでの国を上位中所得国としている(注1)。2019年に、インドネシアの1人当たり国民総所得(GNI)は4,050ドルとなった(添付資料図参照)。周辺国では、マレーシア(1万1,200ドル)、タイ(7,260ドル)が上位中所得国、フィリピン(3,850ドル)、ベトナム(2,540ドル)が下位中所得国に位置付けられている。

「中所得国のわな」回避のために生産性向上が不可欠

上位中所得国への引き上げについて、ジョコ・ウィドド大統領は7月3日、大学学長が集まる会議の場で、祝意を表すとともに、建国から100年目に当たる2045年にインドネシアが高所得国となるためには、今後、中所得国のわな(注2)に十分な注意をする必要があると述べた。同大統領は、残り25年間で高所得国になるためには、効率的なインフラ開発や生産性の高い人材の育成を通じた、多くの課題解決が必要で、これからピークに向かう人口ボーナス期をうまく活用することが肝要、との見方を示した。

同様に、元世界銀行専務理事のスリ・ムルヤニ財務相も7月7日、中所得国のわなに陥っている国が多い一方で、抜け出すことに成功した国として、シンガポールや韓国を例に挙げた。その上で、生産性、競争力および人材の質を向上させることが必須とし、政府としてこれらの分野を重視する考えを示した。

世界銀行のデータによると、インドネシアの1人当たりGNIは、2001年から2012年まで毎年約10%から20%の高い伸び率を示したが、2013年をピークに2016年まで伸び率は減少に転じた。その後、上昇率は再び増加に転じ、2019年は前年の3,850ドルから5.2%増で4,050ドルとなっている。

(注1)世界銀行は、1人当たりGNIが1,036ドル未満の国を低所得国、1,036ドルから4,045ドルまでの国を下位中所得国、4,046ドルから1万2,535ドルの国を上位中所得国、1万2,535ドル超の国を高所得国としている

(注2)中所得国のわなとは、経済成長により国民の所得が中程度の水準に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷し、高所得国の水準に届かないことを指す。

(山城武伸)

(インドネシア)

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