バイデン米民主党大統領候補、環境インフラ政策を発表

(米国)

ニューヨーク発

2020年07月17日

11月の米国大統領選挙で民主党候補になることが確実視されているジョー・バイデン前副大統領は7月14日、環境インフラ政策について大統領就任後の行動計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。2050年までに経済全体で温室効果ガスの排出をネットでゼロにすべく、政権発足後4年間で2兆ドルを投資し、インフラの刷新や電気自動車やクリーン技術などの開発支援を掲げた。それら取り組みを通じて、労働組合加入の選択肢を伴う数百万人の雇用を創出するとした。

EV普及や蓄電池、次世代素材の開発を支援

バイデン氏は発表の中で、トランプ大統領が科学を無視して国家を危機にさらしたと批判し、自身は持続可能なインフラやクリーンエネルギーの供給のために必要な雇用を創出すると述べ、分野別の計画を打ち出した。これに先立ち、同氏の選挙陣営と、民主党候補の座を争ったバーニー・サンダース上院議員(バーモント州)の陣営が立ち上げた合同作業部会が7月8日に環境政策などに関する共同提言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を行っており、今回の発表はそれに整合した内容となっている。

まずインフラ分野については、老朽化した道路や橋などを刷新し、鉄道などの交通機関の動力源をクリーンエネルギーに置き換えるほか、上下水道の改修や次世代第5世代移動通信システム(5G)ネットワークの全国普及などを盛り込んだ。また、2030年までに10万人以上の人口を有する都市全てに高品質かつ温室効果ガス排出ゼロの公共交通機関を提供することを目指すとしている。

自動車産業では、電気自動車(EV)普及のため、充電施設を50万カ所設置する方針を示した。消費者に対してEVへの買い替えを促す奨励金を支給するとともに、自動車メーカーやサプライヤーには生産設備への投資にインセンティブを付与する。政府としても、公用車300万台をEVなどに切り替える。

発電分野は、2035年までに排ガスをゼロにすべく、エネルギー効率や発電源のクリーン化に関わる基準を導入し、基準を満たす事業者に税控除などを与える。再生可能エネルギーは、太陽光パネル数百万枚や風力発電タービン数万基の設置などを推進する。建設部門では、商業用建物400万棟のエネルギー・空調システムを刷新し、住宅200万戸の耐候性向上を目指す。個人住宅の改修に対しては、現金給付および低金利融資を提供する。

また分野を問わず、クリーン技術の実用化やコスト削減のため、蓄電池や次世代素材・エネルギー設備などの開発に4,000億ドルの政府調達を充てる。他方、放棄・廃棄された石油・ガス井や鉱山による環境汚染対策のために25万人分の雇用を創出するとしている。環境対策としては、各地域の被害状況を直接報告するワーキンググループをホワイトハウス内に設置するほか、司法省内に環境・気候司法部門を新設し、環境汚染を行った事業者などを取り締まる。

(藪恭兵)

(米国)

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