新型コロナ対策の賃金補助と失業給付、対象を絞り減額した上で延長

(オーストラリア)

シドニー発

2020年07月22日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は7月21日、新型コロナウイルス関連の経済支援策のうち、主要施策である賃金補助制度と失業者への給付制度が9月に期限を迎えるのを前に見直しを行った結果、対象を絞った上で支援を継続すると発表した。

両制度は新型コロナウイルス感染が拡大した3月から6カ月間の時限措置となっていた。賃金補助制度では、1カ月の売上高が30%以上〔年間売上高10億オーストラリア・ドル(約760億円、豪ドル、1豪ドル=約76円)以上の企業は50%以上〕減少した企業を対象に、被雇用者1人当たり隔週1,500豪ドルを支給し、9月27日を期限としていた(2020年4月1日記事参照)。失業者への給付制度では、失業手当などの特別給付受給者1人当たり隔週550豪ドルを給付し、9月24日を期限とした。

再設計した賃金補助制度では、経済活動の再開に伴う企業の回復度合いを反映するため、支給期間を2段階に分ける。企業は2020年第2四半期(4~6月)以降の売上高が実際に30%以上減少したことを示し、適格性の再評価を受ける必要がある。期限延長の第1期(9月28日~2021年1月3日)では1人当たり隔週1,200豪ドル、第2期(2021年1月4日~3月28日)では同1,000豪ドルを支給する。なお、2020年3月1日以前の労働時間が週20時間未満だった被雇用者にはより低い支給額を適用し、第1期に750豪ドル、第2期に650豪ドルを支給する。

失業者への給付制度は12月31日まで期間を延長し、1人当たり隔週250豪ドルを支給する。また、受給者の就業を支援するため、給付を受けながら隔週300豪ドルまで収入を得ることができるようにする。

中小企業向け融資も拡充

連邦政府は7月20日、新型コロナウイルス関連の経済支援策の1つである政府保証50%の中小企業向け融資制度を拡充し、2021年6月末まで期限を延長すると発表した。融資限度額を25万豪ドルから100万豪ドルに引き上げ、融資期間を3年から5年に延長し、運転資金に限定されていた融資の用途を拡大する。

(住裕美)

(オーストラリア)

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