英酒造企業、2021年から紙ボトルを使用へ

(英国)

欧州ロシアCIS課

2020年07月17日

英国の酒造企業ディアジオは7月13日、世界初の100%紙のスピリッツ用ボトルを開発したと発表した。同社のスコッチ・ウイスキー「ジョニー・ウォーカー」のボトルとして、2021年初頭から使用が開始される予定だ。

ボトルにプラスチックは使用されておらず、持続可能な方法で調達したパルプが用いられており、リサイクルも可能。同社がベンチャー支援企業のパイロット・ライトと立ち上げた、パルペックスが開発した。パルペックスによれば、この技術の特徴は「形がカスタマイズ可能」「サステナブルな着色顔料の使用」「エンボス(浮き出し)加工、ラベルが可能」な点だ。これらにより、各ブランドの特徴的なデザインを損なわずに、ガラス瓶やペットボトルを使用した際に排出される、二酸化炭素(CO2)の排出量削減や環境に悪影響を与えるプラスチックの削減につながるとしている。既に、消費財大手のユニリーバや食品・飲料大手ペプシコとコンソーシアムを形成している。ペプシコは、2021年にパルペックスの技術・デザインを活用した自社の飲料容器をテストする予定としている。

ディアジオの最高サステナビリティ責任者(CSO)のユアン・アンドリュー氏は「(当社は)『持続可能な包装』という可能性を広げようと努力してきた。このボトルは革新的なものになるだろう」と述べた。

同様の動きは、他の企業でもみられる。サステナブルな容器を開発するフルーガルパックも、6月30日に紙のワインボトル「フルーガル・ボトル」を発表した。容量は750ミリリットルで、リサイクルされた板紙を使用して作られている。同社は、ガラス瓶を使用した場合よりもCO2の排出量が少ないことに加え、重さがガラス瓶の5分の1と軽量で輸送が容易なことが特徴とした。

OECDによれば、英国の15歳以上1人当たりが2018年に摂取したアルコール量はワイン109本分に相当するとされ、欧州の中では少ない国であるものの、酒類のボトルへの代替素材活用には一定の効果が期待される。

(山田恭之)

(英国)

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