2019/20年度の衣料品輸出は18.1%減

(バングラデシュ )

ダッカ発

2020年07月15日

バングラデシュの主幹産業である縫製品輸出が不調だ。バングラデシュ輸出振興庁(EPB)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2019年7月~2020年6月の衣類の輸出額は279億ドルで、前年度比18.1%減、全体の輸出額は16.9%減となった。また、政府の目標輸出額との比較では、衣類はマイナス26.8%、輸出額全体もマイナス25.9%と目標に届かなかった(添付資料表参照)。

現地メディアは、新型コロナウイルスの影響を受け、最大の輸出相手国である米国の小売店の多くが閉まり、バングラデシュの縫製工場も4月は稼働停止、5月以降も限定的な稼働状況で、バングラデシュからの米国の衣類輸入額は約12%減少と報じている(「デイリースター」紙7月6日、「フィナンシャル・エキスプレス」紙7月5日)。「バングラデシュの縫製企業の統廃合は必然だろう」(「デイリースター」紙6月30日)といった報道もみられる。

政府は6月に発表した新年度(2020年7月~2021年6月)予算案で、輸出時にかかる源泉税の引き下げ(1%→0.5%)、非上場貿易会社の法人税引き下げ(35%→32.5%)などに言及しており、これらはコロナ禍で損害を受けた縫製産業を考慮したものと考えられる。縫製関連の進出日系企業からは「6月まではオーダーを抱えていたが、7月以降(2021年春夏物の発注)が全く見通せない。それ次第で今後の稼働状況が変わるだろう」との声が聞かれる。バングラデシュに進出している日系企業の多くは縫製産業に携わっており、進出日系企業にとっても影響の大きい同産業の輸出動向には、今後も留意する必要がある。

(山田和則、安藤裕二)

(バングラデシュ )

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