米政府、新型コロナワクチン生産で富士フイルム子会社関連施設に280億円支援

(米国)

ヒューストン発

2020年07月29日

トランプ米大統領は7月27日、新型コロナウイルス向けワクチンの生産拡張のため、米保健福祉省がテキサスA&M大学の先端開発・製造革新センター(Center for Innovation in Advanced Development & Manufacturing:CIADM)と2億6,500万ドル(約280億円)の契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。視察先の、富士フイルム米国子会社「フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ」のノースカロライナ州拠点で明らかにした。

CIADMは、保健福祉省傘下の米生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)がテキサスA&M大学や民間企業、テキサス州の新興技術支援基金(State of Texas Emerging Technology Fund)の出資により2012年に設置した施設で、感染症などの脅威に際し、医薬品の迅速な研究開発や製造などを担っている。CIADMの医薬品やワクチンなどの開発製造業務は、受託製造者であるフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズが請け負っている。

政府は本契約により、2021年末までCIADMにて、新型コロナウイルス向けワクチン開発事業「ワープスピード作戦」(注)の下で開発されるワクチンに必要な生産力を確保した。フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズが原薬を提供する米バイオ企業ノババックス(本社:メリーランド州)のワクチンも同作戦が支援する開発案件の1つだ。

フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズは、既に予定されているテキサス州での増産投資を今秋までに完了させる予定。同社は2020年後半にノースカロライナ州からテキサス州に技術移管を開始し、2021年初めにワクチン候補の量産を開始する予定としている。同社のゲリー・ファレル最高執行責任者(COO)は、「治験が首尾よく完了すれば、2021年の中頃から後半にワクチンが一般に利用できるようになるだろう」とコメントしている(7月28日付テキサス州地元放送局KBTX記事)。

(注)Operation Warp Speed。新型コロナウイルス向けワクチンの開発を迅速かつ大規模に行うことを目的とした米国政府のプロジェクト。

(桜内政大)

(米国)

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