国務院、輸出用製品の内販転換をサポート

(中国)

北京発

2020年07月02日

国務院弁公庁は6月22日、「輸出用製品の内販転換支援に関する実施意見(国弁発[2020]16号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、本意見)を発表した。本意見は、輸出用製品の内販転換支援、内販チャンネルの開拓、保険・融資面での支援強化などにより、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い外需不振の影響を受けている輸出型企業をサポートするもの。特に、国内の各地域において重要な産業チェーンやサプライチェーンを担う輸出型企業や、中小零細の輸出型企業を重点的に支援するとしている。

本意見では、中国の強制性標準で求められる要件を満たす国際標準や関連する標準技術指標に準じて生産されている輸出用製品を、中国国内販売に切り替える場合、企業による自己証明方式で販売を行うことを認めるとしている。他方、強制性製品認証(CCC認証)に係る製品を内販に転換する場合は、法に基づいて同認証証書を取得しなければならない。強制性認証に関しては、取得に係る手続きを簡素化し、所要時間も短縮する。同措置は2020年末までとされている。

また、各地の歩行者天国や大型商業企業に対し、輸出製品を専門に販売するエリアを設置させるほか、電子商取引(EC)プラットフォームを通じて、輸出製品の内販促進イベントを開催し、貿易・輸出型企業がインターネットのライブ配信を通じて、直接製品を販売する「ライブコマース」なども奨励する。

各種金融機関に対しては、輸出型企業への支援を奨励し、売掛金、棚卸資産、機器設備、倉荷証券(倉庫業者が発行する有価証券)、受注案件などを質権とする融資を実施し、大手ECプラットフォームによる中小零細の輸出型企業への直接融資を強化するほか、保険などの面でも支援を強化する。

今回の施策について、6月24日の21世紀経済報道の社説では「雇用(注)およびサプライチェーンの安定にとってプラスの意味を持つ」と評価しつつ、「輸出型企業は、受注貿易に頼りすぎず、イノベーションや国際的な生産能力によって自社ブランドを築き、より高い付加価値を創出し、自律性を高めるべきだ。今回の輸出用製品の内販転換支援は緊急の措置で、新型コロナウイルスの影響を受けた内需を刺激する効果は限定的とみられるものの、貿易・輸出型企業にとってはチャンスとなる」と指摘した。

本意見では、各施策について担当政府部門が割り振られており、今後、より詳細な具体策が策定・公表される。

(注)本意見によれば、中国の貿易・輸出型企業は2億人近くの雇用を生んでいるとされている。

(趙薇)

(中国)

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