新型コロナ、加州レジャー・ホスピタリティー産業と小売業の雇用に打撃、米UCLAが分析

(米国)

ロサンゼルス発

2020年07月01日

経済予測機関のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アンダーソン・フォーキャストは6月24日、新型コロナウイルスがカリフォルニア州の雇用に及ぼす影響に関する分析を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

分析によると、新型コロナウイルス対策として実施された外出禁止令により、カリフォルニア州は急激な景気後退に陥ったという。2月から4月にかけて同州は非農業部門の就労者数全体の15%に当たる256万件の雇用を失った。この数字は2008年から2009年にかけての米国景気後退時(26カ月間)の、同部門の雇用喪失数131万件の約2倍に当たる規模となっている。

特に大きな影響を受けた産業は、レジャー・ホスピタリティー産業と小売業で、この2つだけで全体の雇用喪失の約50%を占めた。特にレジャー・ホスピタリティー産業は95万件の雇用を失った。2001年の同時多発テロ事件の際、航空産業の回復に31カ月かかったように、旅行者を含め消費者に感染に対する不安感が残る間は、同産業の回復のペースは遅くなるとみられる。小売業については、失業や所得の減少による消費の減退が影響し、回復にはまだまだ時間がかかるとの見方を示している。

次に雇用の減少が目立つのは、ヘルスケア・ソーシャルサービスだった。特に影響を受けたのが歯科医院や託児所などだが、いずれも日常生活で必要となる分野であり、経済社会活動の再開後に比較的早期に回復が見られるとされている。

このほか、アンダーソン・フォーキャストは、カリフォルニア州の2020年第2四半期(4~6月)の失業率を14.6%、2020年全体では10.5%、2021年は8.2%、2022年は6.8%と予想している。ただし、現時点の失業率の試算には、従業員への給与支払いなどに活用できる給与保護プログラム(PPP)をはじめとする政府の企業支援策などの影響は反映していないため、これらにより雇用が取り戻される効果も期待できるという。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国)

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