サイード大統領、新首相にメシシ内務相を指名

(チュニジア)

パリ発

2020年07月30日

7月15日にイリエース・ファハファーハ首相が2月27日の就任から5カ月足らずで辞任し、カイス・サイード大統領は7月25日、ファハファーハ内閣で内務相を務めたヒシャム・メシシ氏(46歳)を首相に任命した。2019年10月の国民代表議会議員選挙以降、同氏が3人目の首相となり、政治不安が続く中、新首相は1カ月以内に組閣を行い、議会の承認を仰ぐことになる。承認が得られない場合は、議会解散となり、新たに議員選挙を行う運びとなる。

メシシ新首相は2014~2018年にかけて女性・家族・子供問題担当省、交通省、社会問題省、厚生省の局長を務め、2019年10月23日のサイード大統領就任以降、大統領法務担当第1顧問を務めた高級官僚だ。ファハファーハ内閣で初入閣し、内務相に任命された。

2019年10月6日に成立した現在の国民代表議会は、第1党のイスラム穏健派アンナハダ党ですら全議席の20%に満たない多党共生の議会となり、反イスラム派の議員がラシェッド・ガヌーシ国会議長(アンナハダ党首)に対する不信任案を提出するなど、混乱が続いている。サイード大統領は各政党が推した首相候補者以外から大方の予想を覆す人選を行い、政党色のない実務型の首相を指名することで、分裂する議会のまとめ役を託す色合いが濃い。

新型コロナウイルス感染症による人的被害を早期の徹底対処により抑えてきたチュニジアだが、欧州経済への依存度の高い同国経済への打撃は大きい。新首相は、こうした経済・社会問題や政治不安などの課題に直面することとなる。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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