IMFが中東地域の経済見通しを下方修正

(中東)

中東アフリカ課

2020年07月15日

IMFは7月13日、中東および中央アジア地域の実質GDP成長率を改定、発表した(IMFウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。新型コロナウイルス感染拡大の影響に加えて、原油価格の急落、それによる原油輸出国の減産、貿易と観光の落ち込みという二重、三重の打撃を受けたことから、2020年の中東・中央アジア地域の成長率は、4月時点の予測値より2ポイント低いマイナス4.7%に下方修正された。

中東地域で2020年の実質GDP成長率を見た場合、MENAP地域(中東・北アフリカおよびパキスタン)ではマイナス5.1%、MENA地域およびアラブ世界はいずれもマイナス5.7%、産油国が多いGCC(湾岸協力会議)諸国はマイナス7.1%の予測となった。

中東各国は、3月という早い時期から渡航制限やロックダウンを行うなど、人の移動や経済・商業活動に制限をかけ、一時期は感染のペースは減速傾向にあったものの、ラマダン(断食)明け休暇終了後の6月以降に各種制限の緩和措置が行われると、一部の国で第2波ともいえる感染者の増加を招いた。7月に入ってイスラエルやイランでは、イベント会場や公共施設の閉鎖などの再制限を要する事態となっている。

IMFの報告でも、引き続き感染拡大や企業活動の停止がどの程度長期化するかという非常に高い不確実性があること、その結果社会不安や政治の不安定を含む下振れリスクが大きくなっていること、世界の石油市場において新たな油価変動の可能性があることなどを指摘している。

(米倉大輔)

(中東)

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