国家エネルギー計画2050の素案を公表、パブコメ受付を開始

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年07月20日

鉱山エネルギー省は7月13日、長期的なエネルギー需給政策の在り方を定めた「国家エネルギー計画2050(PNE2050)」の素案を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

計画案本体は全7章で231ページにわたり、エネルギーの生産や消費に関する横断的課題、電源構成に関する方針、エネルギー輸送に関連するインフラ整備、技術開発などの多岐な事項について触れられている。

計画の終期である2050年は、2015年との対比で、エネルギー消費量が2.2倍、電力消費量が3.3倍になると想定しており、エネルギー源の多角化と十分量の確保を基本方針としている。具体的には、現下でも比率の高い再生可能エネルギーを堅持し、産油国の立場から石油についても不可欠なエネルギー源と位置付けるとともに、国産ウラン資源の活用について述べられ、地政学的リスクの低減を図ろうとしている。

電源構成については、現在発電量ベースで7割弱を占めている水力発電への依存度を低減し、バランスのとれた電源構成を目指すこととしている。このため、風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーを大幅に拡充するとともに、原子力発電の比率を増大させる方針が示されている。

ブラジルにおける原子力発電は、現在のところ発電量ベースでは全電源の中で3%程度、発電能力は2つの原子力発電所で計2ギガワットとなっているが、今後30年間に能力を8~10ギガワットに拡大することが計画されている。

本計画案に対しては、7月13日から10月13日までの3カ月間、鉱山エネルギー省のウェブサイト上でパブリックコメントを受付けており、また、この間オンライン上での公開ヒアリングも予定されている。これらの手順を経た後、同計画案は国家エネルギー政策会議に提出されオーソライズされる予定だ。

(岩瀬恵一)

(ブラジル)

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