上半期の対中直接投資は減少、6月単月では増加

(中国)

中国北アジア課

2020年07月27日

商務部の高峰報道官は7月16日の定例記者会見で、2020年上半期の中国の対内直接投資(銀行・証券・保険分野を含まず)が、元建てで前年同期比1.3%減の4,722億元(ドル建てでは4%減の679億ドル、注)だったと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大などの影響があり、世界から中国への対内直接投資は依然として減少している。

しかし、高報道官は前年同期と比べた減少幅が第1四半期と比べて9.5ポイント、1~5月と比べて2.5ポイント縮小しており、状況は予想よりも良かったとした。6月単月では、前年同月比7.1%増の1,170億元(ドル建てでは3.7%増の167億ドル)となった。

習近平国家主席は3月10日、新型コロナウイルスの被害が最も深刻だった武漢市を訪問し、中国がウイルスの抑え込みに成功したことを国内外にアピールし、その後経済活動も徐々に正常化し始めたが、対内直接投資は4月が11.8%増、5月が7.5%増となっており、増加が続いている。

高報道官は、業種別では、1~6月のハイテクサービス業への投資が19.2%増となり、ITサービス、検疫・検査測定サービス、研究開発・設計サービスがそれぞれ20.9%増、8.7%増、35.7%増と好調だった点を強調した。

また、国・地域別では、香港、シンガポール、米国、ASEAN、「一帯一路」沿線国がそれぞれ4.2%増、7.8%増、6%増、5.9%増、2.9%増と増加したと紹介した。

国家統計局が7月16日に発表した2020年第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比3.2%となり、第1四半期(6.8%減)のマイナス成長から回復をみせた。下半期も積極的な財政出動が予想され回復傾向が続くとみられる中、世界的に新型コロナウイルスの感染が依然見られておりビジネス活動の制約要因となることも考えられ、今後の中国への対内直接投資がどのように推移するか注目される。

(注)ドル建てとの説明がない場合、以降の伸び率は人民元建ての伸び率を指す。

(宗金建志)

(中国)

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