アルゼンチン政府、債務再編交渉を6月12日まで延長

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年06月09日

アルゼンチン政府は6月2日、決議266/2020号を公布し、最大688億ドルに及ぶ債務再編交渉の期限をさらに10日間延長し、6月12日までとした。前回の交渉期限となった5月22日以降も政府と債権者側との秘密交渉は続き、両者から修正案が提案されるなど、お互い歩み寄りを深めつつある。マルティン・グスマン経済相は最終調整の段階にあるとの見通しを示した。

両者間における債務再編交渉は、交渉期限を5月10日(決議221/2020号)、5月22日(決議243/2020号)と延長が繰り返されてきた。5月22日には、アルゼンチン政府が5億300万ドルの利払いを行わなかったことによる債務不履行(デフォルト)も起きた。

5月23日から28日にかけて、政府と債権者は秘密保持契約を結んだ上での交渉を続け、政府は、利払いの猶予期間を3年から2年に短縮するなど、従来案から修正したものを28日に発表した。その後、政府はIMFに同案の評価を依頼。IMFは6月1日、同案が高い確率で、国内経済回復の前提となる「債務の持続可能性を回復させることになり得る」との専門スタッフの声明を発表した。

市場は交渉の行方に対して冷静に見ており、アルゼンチンのカントリーリスク指数(EMBI+)は、延長期間が開始された時点(2,765ポイント)から6月2日の交渉期限(2,579ポイント)まで、6.7%減となったものの、大きな変動はなかった。また、株価ではメルバル指数が40,962.73ポイント(5月22日終値)から42,037.55ポイント(6月2日終値)と2.6%増となっている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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