マレーシア政府、6月中に短期経済回復計画を発表する方針

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年06月05日

マレーシア財務省は6月2日、近日中にムヒディン・ヤシン首相が「短期経済回復計画」(Short-term Economic Recovery Plan:ERP)を発表する計画を明らかにした。同計画に基づき、マレーシア政府は2020年6月から12月までの半年間における短期的な経済回復を目指す。

今回のERPは、マレーシア政府の新型コロナウイルス対策である「6R戦略」の第4段階にあたるという。6R戦略とは、(1)移動制限令の実施(Resolve)、(2)景気刺激策による国民・産業支援(Resilience)、(3)管理下での経済再開(Restart)、(4)回復計画の実施(Recovery)、(5)経済の全面的な復興(Revitalize)、(6)既存の経済構造の改革・ニューノーマルへの移行(Reform)の6段階のことだ。

ERPに盛り込まれる具体的な内容や対象分野などは言及されなかったが、その草稿をみると、政府は「国民への活力付与」「ビジネス推進」「景気刺激」の3つを同計画の目標とした上で、(1)予測しづらいニーズに対応する素早さ・力強さ、(2)官民協力、(3)透明性と開放性を重視し、国民と産業界が一体となって参画する包括的なコミュニケーションとその展開、(4)データと統計に基づいた計画の履行、に重点を置く方針としている。

新規感染1桁台が続けば、経済活動全面再開へ

マレーシアでは6月9日まで条件付き移動制限令が実施されており、一部の業種の操業や社会・教育活動が禁止されている。これらの禁止業種・活動を含む全面的な経済活動の再開について、マレーシア保健省は5月30日に、「新規感染者が1桁台の状態が1週間以上続けば、全ての経済、社会、教育活動の再開できるだろう」と発表した(国営ベルナマ通信5月30日)。

新規感染者数は4月17日以降、ほぼ2桁台での推移を続けており、多くは海外から帰国したマレーシア人や外国人労働者が占める。6月2日現在の感染者数は7,877人で、うち約8割の6,470人は既に回復した。

(田中麻理)

(マレーシア)

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