新型コロナウイルス感染ゼロに伴い、国内の制限措置を撤廃

(ニュージーランド)

シドニー発

2020年06月11日

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は6月8日、4段階ある新型コロナウイルスの警報レベルについて、同日午後11時59分(ニュージーランド時間)以降、現在のレベル2からレベル1外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますへ引き下げると発表した。保健省によると、新規感染者数が17日間連続でゼロを記録し、コミュニティー内での感染も過去40日間確認されておらず、これまでの感染者は全て回復したことから、国内の感染者数はゼロとなった。

同国では、3月26日から開始された最高位であるレベル4の措置を段階的に緩和し、4月28日にはレベル3へ、5月14日にはレベル2へ移行していた。レベル2では、小売店やレストラン、映画館、スポーツジム、公共施設などとともに、企業もビジネスを再開できた。また、感染率の低下を受け、屋内外の集会人数も5月29日正午には最大100人まで緩和した。

レベル1移行後は、特段の制限なく、仕事、学校、スポーツ、国内旅行を再開することができ、屋内外の集会人数の制限も撤廃される。一方、入国規制は継続され、外国人は引き続き入国が禁止される。また、衛生対策を維持して接触履歴を残すこと、特に、政府が公開しているアプリ「NZ COVID Tracer外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を活用することが推奨されている。

アーダーン首相は「世界で最も経済活動が自由にできる国の1つになった」として、経済再建に意欲を示すとともに、「現時点ではウイルス感染を排除できたと確信しているが、再び感染が発生することは確実だ」として、警戒を続けるよう求めている。

賃金補助の要件を緩和

グラント・ロバートソン財務相は6月5日、これまで実施している企業向け支援策の一部を拡張すると発表した。6月10日から8週間の延長を予定している賃金補助については、前年同月比50%以上の売り上げ減少を要件としていたが、減少幅を40%まで緩和する。また、中小企業向けの融資制度については、6月12日までとなっていた申請期限を7月24日まで延長する。

政府はほかにも、建設、農業、電気工学などの職業訓練支援や、短期融資の提供などによる企業向けの研究開発支援を打ち出している。また、企業が取得する新しい資産やビジネスモデルの実証などにかかる費用について、5年間の税控除申請を可能とするなど、一連の税制改革を実施する。

(住裕美)

(ニュージーランド)

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