習近平国家主席、債務免除を含めたアフリカへの支援を表明

(アフリカ、中国)

中東アフリカ課

2020年06月24日

中国の習近平国家主席は6月17日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応への連帯を示す中国・アフリカ緊急サミット(ビデオ会議)に参加し、COVID-19の影響で財政が逼迫する一部アフリカ諸国に対し、債務免除あるいは返済猶予延長をすると述べた(中国環球電視網6月18日)。

本サミットは中国、2020年のアフリカ連合(AU)議長国である南アフリカ共和国、2021年の中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)の共同議長国・開催予定国であるセネガルが主催し、アフリカ政府首脳のほか、アントニオ・グテーレス国連事務総長、テドロス・アダノム・ゲブレイェソス世界保健機関(WHO)事務局長が参加した。習国家主席は演説の中で、2020年末に満期を迎える中国政府の無利子貸付の返済免除を打ち出すとともに、20カ国・地域(G20)の債務返済猶予イニシアチブ(注1)に沿った債務返済猶予を中国金融機関に促した。またサミット後、中国外務省が発表した共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、COVID-19にかかる国際社会との連帯や一層の中国・アフリカ関係強化が謳われ、「ポスト・コロナ」におけるアフリカのデジタル経済加速に向けて特に遠隔医療、遠隔教育、5Gやビッグデータの分野で中国が支援する旨、表明があった。

本サミットに先立つ4月13日、IMFはCOVID-19が最貧国にもたらす深刻な影響に鑑み、アフリカ諸国を含む25カ国に対する総額5億ドルの債務免除を公表していた。一方で、5月15日には民間団体であるアフリカ民間債権者ワーキンググループ(AfricaPCWG)(注2)が包括的な債務削減の動きに懸念を表明。ブルームバーグ・アフリカのインタビューに対してAfricaPCWGメンバーでファラロン・キャピタル・マネジメントL.L.Cのベイン取締役は、包括的な返済猶予がやがてはアフリカの債務免除につながりかねないことへの投資家の懸念や、債権・債務者双方にとって最良な個別対応策を模索しなければ、近い将来アフリカで債権が発行しづらくなると警鐘を鳴らしていた。

(注1)4月15日に合意したイニシアチブ。IMFから緊急支援を受ける38カ国の融資返済を2020年5月1日から2020年末まで停止するとともに、債権者は猶予期間中に可能な返済期限を検討するよう求めるもの。

(注2)25の資産管理者・機関から成り、ユーロ債、シンジケートローン(金融機関の協調融資)、トレードファイナンス(輸出入に必要な資金の融通)を通じて国や企業に融資をするグループ。

(堀田萌乃)

(アフリカ、中国)

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