ベルリンの見本市、仮想イベントなどデジタル化を取り入れ再開へ

(ドイツ)

ベルリン発

2020年06月17日

ドイツ見本市産業連盟(AUMA)によると、2020年、新型コロナウイルスによる影響で延期あるいは中止となった見本市はドイツ国内のみでも約160件に上る。ifo経済研究所の5月時点の試算によると、年間280億ユーロだった見本市における経済生産額は、2020年には169億ユーロに減少すると見込まれる。

フィリップ・ハーティングAUMA会長は現地紙「ハンデルスブラット」の取材に「今年の秋から第1段階として小規模で再開し、2021年には従来のレベルに戻る」と述べている(「ハンデルスブラット」紙電子版6月10日)。

多くの国際見本市を主催するメッセ・ベルリンはデジタルを活用した見本市開催を模索し、仮想イベントなどを取り入れながら再開への道筋をつけつつある。具体的には、9月開催予定だった国際鉄道技術専門見本市「イノトランス(InnoTrans)」は、2021年4月に延期されたが、当初の開催予定期間に、オンラインで、デジタル対話フォーラムを開催する。ドイツ交通フォーラム(DVF)や、ドイツ鉄道協会(VDB)によるパネルディスカッションなどが行われる。

世界有数の家電見本市「IFA」は、保健衛生などの安全対策を講じ、2020年9月3日から5日にIFA 2020スペシャルエディションとして開催する。会期を6日間から3日間に短縮、一般公開せず招待制とし、メディアとバイヤーのみを対象とする。4つのイベントに分けた上で、イベントごとの参加人数を1日当たり1,000人に制限する。

また来場できない人向けにはバーチャルで展示物を見たり、体験したりする機会を提供する。IFAは、家電メーカーや、コンシューマエレクロニクス企業にとってブラック・フライデーやクリスマス商戦などの繁忙期に向けた最新商品アピールに向けた重要な見本市で、メディアの関心も高い。主催者の6月10日の発表によると、メディア向けに設けられている800人の入場枠に対し、欧州、米国、日本、中国、韓国など60カ国以上から、定員数を超える申し込みがあったという。

5月13~17日に開催が予定されており、新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止となったベルリン国際航空宇宙ショー(ILA)は、5月13日から7月31日の期間中、見本市の要素をデジタルコンテンツとして提供。毎週水曜日に見本市ウェブサイトからビジネスマッチング、ウェビナー、専門家インタビューなどのコンテンツやイベントへアクセスできる。主催者によると航空宇宙分野の見本市としては世界初の完全オンライン化となった事例だという。

(ヴェンケ・リンダート、中村容子)

(ドイツ)

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