第1四半期のGDP成長率、前期比マイナス2.6%

(スイス)

ジュネーブ発

2020年06月11日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は6月3日、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率を前期比マイナス2.6%と発表した(添付資料表参照)。新型コロナウイルス感染拡大と封じ込め措置により3月の経済活動は大幅に制限され、世界経済の大幅な縮小により輸出産業も減速した。

産業別にみると、特にサービス業は活動制限措置の影響を大きく受け、ほぼ全ての分野でマイナス成長となった。宿泊・飲食(23.4%減)と商業(4.4%減)は3月以降の外国人客の大幅な減少により記録的な低下となり、輸送・通信(5.1%減)は航空機の運休・減便の影響を受けて30年間で最低を記録した。ヘルスケアセクターも3.9%減少し、診療の制限や一時的休止により記録的な減少となった。金融(2.3%)と行政(0.8%)はプラス要因となったが、サービスの輸出はマイナス4.4%、サービスの輸入はマイナス1.2%と落ち込んだ。

主要な貿易相手国の経済状況も大幅に悪化し、機械・金属、精密機器、時計製造などの景気サイクルに敏感な産業は深刻な影響を受けた。製造業は1.3%減少し、2015年初頭のスイスフラン・ショック以来の急激な落ち込みにより広範囲で輸出が減少したが、化学・医薬品の輸出が大幅に伸びたため、財貨の輸出は3.4%を記録した。財貨の輸入は国内需要の低迷によりマイナス1.1%と減少した。

需要別項目にみると、活動制限措置と先行きの不確実性により、個人消費はマイナス3.5%と大幅に落ち込んだ。3月17日以降の店舗閉鎖により、家具や衣料品などの売り上げは激減し、モビリティー、レジャー、健康関連支出も減少した。設備投資(4.0%減)、建設投資(0.4%減)も縮小した。政府消費支出(0.7%)は経済を支えたが、国内最終需要はここ数十年で最低値となるマイナス2.7%を記録した。

SECOは今回の統計値について、新型コロナウイルス感染症の世界的流行によるゆがみを調整するため、ユーロスタット(Eurostat)の推奨に基づき時短勤務や連邦政府の活動制限措置を考慮した上、季節調整モデルについても必要な見直しや修正を加えたが、今後、大幅に修正される可能性があることも示唆した。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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