第4弾補正予算で、スタートアップ、企業のデジタル化を追加支援

(シンガポール)

シンガポール発

2020年06月01日

シンガポールのヘン・スイキャット副首相兼財務相は5月26日、2020年度政府予算(2020年4月~2021年3月)の補正予算における第4弾新型コロナウイルス経済支援パッケージで、有望なスタートアップ支援のため、追加で2億8,500万シンガポール・ドル(約217億円、Sドル、1Sドル=約76円)を計上すると発表した。政府は2月18日発表の最初の経済支援パッケージで、知的所有権(IP)を生むような先端技術のディープテック分野(注1)のスタートアップ支援として3億Sドルを計上しており、今回発表はこれに続くもの。

政府は先に発表したディープテック分野への支援と同様、スタートアップの追加支援を、官民共同支援スキーム「スタートアップSGイクイティー(注2)」を通じて行う。同スキームは認定投資会社が選んだスタートアップに対して、ディープテック分野の場合、投資額の最初の50万Sドルについて7割を政府が、残り3割を民間投資会社が負担する。また残りの投資額について政府と民間投資会社が折半で出資する(1社当たりの投資上限額400万Sドル)。ヘン副首相は追加支援の理由として、新型コロナウイルス感染の影響に伴う事業環境の悪化により「一部の有望なスタートアップが資金調達をし、事業拡大することが困難になっており、何もしなければ優良な企業と雇用が失われてしまう」と説明した。

企業のデジタルトランスフォーメーション支援に5億Sドル以上

また、ヘン副首相は今回のパッケージで、企業のデジタルトランスフォーメーション支援で、5億Sドル以上の予算を計上することを明らかにした。発表によると、企業のデジタル化を促進するため、「デジタル適応力ボーナス(Digital Resilience Bonus、注3)」を導入する。まず、飲食、小売店向けに、スマートフォンでの法人向け決裁システム「ペイナウ・コーポレート(2018年8月15日記事参照)」、電子インボイスなど電子ソリューションの導入コスト支援として、1社当たり5,000Sドルを支給する。

さらに同副首相は、新型コロナウイルス下で安全な職場や通勤環境を実現するため、「国家イノベーション・チャレンジ」によりソリューション公募を実施することを明らかにした。同公募については後日、国家研究基金(NRF)、情報通信省と貿易産業相が詳細を発表する予定。

(注1)ディープテックとは、人工知能(AI)、量子コンピューター、宇宙工学、先端製造など先端テクノロジー分野で何らかのIPを生み、根深い社会課題を解決できるような技術。

(注2)官民共同投資スキーム「スタートアップSGイクイティー」の詳細は政府のスタートアップ向け情報ポータル「スタートアップSG外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」参照。

(注3)デジタル適応力ボーナス(Digital Resilience Bonus)の詳細は、2020年度政府予算のページPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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