INSEE、第2四半期のGDP成長率を前期比マイナス20%と予測、政府は2020年予測を下方修正
(フランス)
パリ発
2020年06月04日
フランス国立統計経済研究所(INSEE)は5月27日、第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前期比マイナス20%(第1四半期はマイナス5.8%)と1948年以降で最大の後退になると予測した。
経済活動は新型コロナウイルス感染による危機以前の水準を21%下回るものの、5月11日からの移動制限の緩和で、7日に発表された前回の数値からは12ポイント上昇した。移動制限により経済活動は危機前の水準の3分の2に落ち込んだが、制限緩和から2週間で危機前の5分の4まで改善したことになる。
とりわけ建設部門では、工事再開の動きを受け危機前の38%減まで回復(移動制限中は危機前に比べ75%減)。製造業では24%減と移動制限緩和前の38%減から14ポイント上昇した。サービスは営業を再開した商業・修理業のほか、運輸業などで改善がみられ、前回調査の36%減から25%減まで持ち直した。外食・宿泊は5月11日以降も営業停止が続いたことから危機前の90%減と横ばいだった。
家計消費支出は、移動制限が緩和された5月11日の週に危機前を6%下回る水準まで持ち直し、5月7日の前回調査から25ポイント上昇した。工業製品は非食品系小売店の再開を受け、情報処理、電気・電子機器を中心に前回調査時から39ポイント上昇し、危機前の水準を6%上回った。食品・飲料への支出も危機前を上回る水準(10%、前回調査時5%)が続いた。
サービス支出は前回調査時から14ポイント改善し、危機前を17%下回る水準まで戻した。営業を再開した修理、家庭向けサービス(クリーニング、理美容室など)への支出が急増した。ただし、この消費拡大は移動制限中に先送りされた支出を反映したもので、今後持続するかは不透明だとした。
INSEEは新型コロナ危機の影響は2020年下半期も続くと見る。フランス経済が7月に危機以前の水準を取り戻せば、2020年通年の実質GDP成長率は前年比マイナス8%となるが、こうした急激な正常化は現実的ではないとし、コロナ危機の影響は予想を確実に上回ると指摘した。
ブリュノ・ルメール経済・財務相は6月2日、ラジオ番組(RTL)のインタビューで2020年通年の実質GDP成長率を従来のマイナス8%からマイナス11%に下方修正した。
(山崎あき)
(フランス)
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