81%が売り上げに悪影響と回答、在独日系企業への新型コロナ影響調査

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2020年06月05日

ジェトロは6月2日、ドイツ各地日本商工会議所、日本法人会、日本人会法人部、在外公館などとの協力のもと実施した在独日系企業(注)への新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査(調査期間:5月6~20日、回答企業数:238社)の結果を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

同アンケートによると、売上高は例年の水準と比べて、81%が「大きく落ち込んでいる」または「多少落ち込みがある」と回答。一方、ドイツにおける今後のビジネス展開の方向性については、現状維持と回答した企業が40%、今後拡大を目指す企業が55%で、現時点で縮小や撤退を検討している企業は5%以下にとどまっている。

連邦政府、州政府による特別救済措置については、活用している企業は31%にとどまり、特に実際に利用した支援策としては、短縮労働時間給付金制度(54社)や納税期限の延長など納税に関する措置(20社)が挙げられた。

また、欧州委員会の提案に基づくドイツ国内へのEU・EFTA・英国外からの入国制限や、ドイツ政府によるシェンゲン圏内の暫定的国境管理、国内でのビザ発行の制限などによる業務への影響については、68%の企業が影響を受けたと回答。具体的な影響としては、「出張制限にともなうビジネス機会の喪失」を挙げ、新規顧客開拓への影響に懸念を示した企業が160社で最も多く、「既存顧客へのサービス提供が困難」(95社)という既存顧客へ対応が不十分となることを懸念する声、「人事異動の凍結など管理運営上の影響」(89社)という企業運営上の課題を挙げる声が続いた。また、物流業務への影響については41%の企業が影響を受けたと回答。具体的な影響としては、「物流の遅延」(108社)や「物流コストの高騰」(88社)などを挙げる企業が多かった。

アンケート回答者からは「ほとんどの情報ソースがドイツ語のため、情報収集が非常に難航する」、「徐々に在宅勤務解除および国内出張承認を進めようとしているが、従業員の感染リスクへの不安の払拭、リスクへの対策が不十分であり、非常に悩ましい」、「欧州自動車メーカーの工場稼働率がどの程度回復するのかが見えず困っている。稼働の見通しなども公開してほしい」などの声が挙げられている。

(注)ドイツで日本人が設立した企業も含む。

(森悠介)

(ドイツ)

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