第1四半期GDP成長率は前期比マイナス1.6%、29年ぶりの大幅な落ち込み

(ニュージーランド)

シドニー発

2020年06月19日

ニュージーランド統計局は6月18日、2020年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前期比マイナス1.6%だったと発表した。世界金融危機下にあった2000年代後半より深刻な状況で、1991年3月以来、29年ぶりの大幅な落ち込みとなった。新型コロナウイルス感染拡大防止のために開始された制限措置による経済活動の停滞が明らかとなった。

産業別にみると、輸送・倉庫業が前期比5.2%減と最も減少幅が大きく、建設業(4.1%減)、製造業(2.4%減)、金融・保険業(2.4%減)、小売り・宿泊業(2.2%減)、芸術・余暇その他(2.0%減)、農林水産業(1.9%減)など、多くの産業が軒並み減少した(添付資料参照)。一方、鉱業(4.3%増)、情報メディア・通信(1.4%増)、保健衛生・社会支援(0.1%増)は増加した。

同国では2月以降、中国など一部の国からの外国人渡航者に対する入国禁止措置を開始し、3月19日には全ての外国人の入国が禁止となった。また、3月26日には、新型コロナウイルスの警報レベルを最高位のレベル4に引き上げ、いわゆる「ロックダウン」状態となり、必要不可欠とされたビジネス以外は営業停止を余儀なくされた。こうした制限措置によって、宿泊や輸送などの海外渡航に関連する産業だけでなく、活動を中止せざるを得なかった建設業なども大きな打撃を受けたかたちとなった。

グラント・ロバートソン財務相は今回の結果を受けて、「制限措置を講じたことによって、予想よりも早く経済活動を再開することができた」とし、「世界経済の落ち込みとロックダウンによる影響の多くは第1四半期と第2四半期(4~6月)に表れるはずであり、政府の経済支援策によって、雇用を確保し、国内経済の回復と再構築を目指す」と述べた。

(住裕美)

(ニュージーランド)

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