ボルソナーロ大統領、感染・死亡者数ともに確認日を基準とする「コロナ統計」を求める

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年06月19日

ジャイール・ボルソナーロ大統領は6月9日、ブラジルの新型コロナウイルス感染者統計は「感染者および死亡者の通報日を基準にするのではなく、感染が確認された日と実際に死亡が確認された日を基準にしなければならない」と強調した。また、大統領は、「統計は事後に役立つ正確な数字であるべきで、マスコミが感染を誇張するための指標ではない」とコメントした。

今回の大統領の発言は、保健省が6月6~8日にかけて、感染者と死亡者の累計値を非公開とし、代わりに過去24時間の感染者、死亡者および回復者の人数のみを公開したこと、加えて統計発表時間をこれまでの午後5時~午後7時から午後10時に遅らせたことに対する反発を受けたもの。

保健省による累計値の一時的な公開中断や発表時間の遅れの理由につき、6月6日付現地「エスタード」紙は、「感染者数および死亡者数が通報日ベースであるため、過去数日間の発生数が1日の通報に合算されてしまっている。これまでの状況から分析すると実際の1日当たり感染者および死亡者数は1,000人未満になるべき」との大統領からの指摘を受けたためと報道している。

大統領は6月5日、「前日4日の感染者および死亡者数の3分の2は、当日より前の死亡者数」とコメント。さらに「1日当たりの感染者および死亡者数はニュース番組に併せて発表を行うのではなく正確性を期すべき」だとし、発表時間の変更を擁護した。国内テレビ局大手バンジの6月9日付ニュースは、死亡日ベースの1日当たり感染者および死亡者数が5月11~17日の週の平均915人/日をピークに「翌週からは低下傾向にある」と報道している。また、登記所への死亡届け出期限が「死亡してから15日以内と長いことから感染死亡通報の遅れにつながっている」とも報道している。

なお、感染者および死亡者の統計については、国内の各自治体が感染者および死亡者数を水増しして通報していたとの疑惑がある。保健省の指示で自治体が再調査を行うケースも頻発している。保健省顧問で保健省局長に就任予定だったカルロス・ウイザルジ氏は「自治体が感染対策予算を得るために水増しした偽りの統計」と批判した。ところが同氏の発言は各州保健局からの批判を浴び、同氏は6月7日、保健省顧問を辞任して局長就任も断念した。

(大久保敦)

(ブラジル)

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