中国スタートアップのEV、欧州向けに初輸出へ

(中国)

上海発

2020年06月03日

中国の電気自動車(EV)メーカーのスタートアップ愛馳汽車は523日、EV500台をフランスのコルシカ島向けに輸出することを祝う式典を開催した。同社は20172月に、元ボルボ販売中国総裁の付強氏と元上海汽車CFO(最高財務責任者)の谷峰氏が上海市に設立した会社で、江西省に完成車工場がある。

今回輸出される車種は、中国のスタートアップEVメーカーとして初めて欧州の型式認証を取得したもので、コルシカ島ではリースで利用される予定という。愛馳汽車は20204月末から欧州の顧客から注文の受け付けを開始しており、2021年からは右ハンドル仕様の英国でも販売を始める計画だ。同社は既に2019年に、中国の西安市からドイツのフランクフルトまでの約14,000キロのテスト走行を実施しており、今回輸出する車種の性能や品質に自信を持っている。欧州市場開拓へ強い意欲をみせている。

一方、河南省の速達汽車も522日、天津港からドイツのデュッセルドルフ向けに200台のEVを輸出した。速達汽車は2010年に設立された低速EVメーカーで、ドイツの販売業者との間で、年内に12,000台のEVを輸出する契約を結んでいる。

2019年の中国のEV輸出台数について、フランス向けは108台、ドイツ向けは1,200台、EU全体でも12,416台にとどまっている(表参照)。前述したEVメーカーなどの輸出拡大により、2020年のEU向け輸出台数が大きく増加する可能性がある。

表 中国のEV輸出台数

中国では2月28日に国家発展改革委員会など23部門が国産商品の競争力向上、中国自主ブランドの強化などを目指す消費拡大策を発表している。中国のEVメーカーが海外市場、特に欧州市場で受け入れられるのか、今後の動向が注目される。

(高橋大輔)

(中国)

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