新型コロナウイルス、インダストリー4.0の流れを加速

(ドイツ)

ミュンヘン発

2020年06月29日

ドイツの経済・エネルギー省、教育・研究省および企業、業界団体、研究機関などが参加してインダストリー4.0を推進する組織「プラットフォーム インダストリー4.0」は6月23日、運営委員会を開催し、「新型コロナウイルス感染症とインダストリー4.0」と題するポジションペーパーを発表した。

ポジションペーパーでは、新型コロナウイルスの世界的な流行を受けて、インダストリー4.0の流れはさらに加速する、としている。企業は生産工程のさらなる柔軟化、バリューチェーン・部品調達の最適化への対応を求められ、それにはデジタル化が決定的な要素となるためだ。

ペーター・アルトマイヤー経済・エネルギー相はプレス発表で、「デジタルインフラのガイア-エックスと合わせインダストリー4.0の流れを着実に進めれば、ドイツ・欧州の産業がより競争力、活力を持てる」とコメントした。

ガイア-エックス(GAIA-X)は欧州のクラウド・データインフラ構想で(2020年6月8日記事参照)、11のドイツ設立メンバーのうち5社・団体(SAP、シーメンス、ボッシュ、ドイツテレコム、フラウンホーファー研究所)は、「プラットフォーム インダストリー4.0」の運営メンバーでもある。

運営委員会は、インダストリー4.0の基礎研究段階における「プラットフォーム インダストリー4.0」の役割の重要性を強調した。同プラットフォームは2019年5月に「インダストリー4.0のためのビジョン2030」を発表し、デジタルBtoBエコシステムの開発のための概念的枠組みを確立し、産業界への実装を推進している。フランク・メルツァー運営委員会委員長[ドイツ自動化大手のフエスト最高技術責任者(CTO)]は「プラットフォームはドイツと欧州の産業の力強く持続的なさらなる発展をサポートする信頼できるパートナーだ」とした。

「プラットフォーム インダストリー4.0」は、生産のデジタル化推進のため、2013年に設立された組織で、産官学から150以上の企業・組織が参加している。6つの作業グループが、テーマごとに具体的な議論を進めている。

「プラットフォーム インダストリー4.0」は国際協力にも積極的で、2016年4月に、日本のロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会とIoT・インダストリー4.0の分野で協力することで合意している。

(高塚一)

(ドイツ)

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