5月の失業率は7.1%に悪化、新型コロナで83.5万人が失職

(オーストラリア)

シドニー発

2020年06月19日

オーストラリア統計局(ABS)は6月18日、5月の雇用統計を発表し、就業者数(季節調整値)が前月から22万7,700人減少したことを明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大防止措置が開始された3月以降の2カ月間で、就業者数の減少は83万5,100人に上った。

失業者数は、前月から8万5,700人増加して92万7,600人となり、失業率は前月から0.7ポイント悪化して7.1%となった。前月同様、仕事を探すことをあきらめた、または探すことができなかったために労働市場を離れる人々が多かったことから、労働参加率は前月から0.7ポイント減少して62.9%となり、2001年1月以来の低水準となった。また、月間総労働時間は前月から0.7%減少し、3月以降の2カ月間では10.2%の減少となった。不完全雇用率は、前月から0.7ポイント低下して13.1%となったものの、3月時点との比較では4.3ポイント上回っており、労働力の未活用率は、20.2%と過去最高を記録した。

今回の結果を受けて、スコット・モリソン首相は、「新型コロナウイルス感染症によってオーストラリア経済が大きな打撃を受け、景気後退局面に入ったことを強く認識しており、雇用を回復させることがわれわれの任務だ」と述べた。

雇用数は1%増加、回復の兆しか

ABSは6月16日、オーストラリア国税庁のデータを利用した4回目の調査結果を発表した。3月14日から5月30日までの11週間の間に、オーストラリア国内の雇用数は7.5%減少し、企業が支払った給与総額は8.3%減少した。ただし、雇用数については、3月14日から4月18日までの減少幅が8.9%減と最も大きく、その後、5月2日から5月30日の間には1.0%増加した。同調査は納税データに基づき、給与が支払われた雇用者のみを対象としたものであることから、雇用統計とは測定方法や時点が異なるものの、回復傾向が表れ始めた、との見方も出ている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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