回答日系企業の約9割が売り上げに影響あり

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2020年06月15日

ドバイ日本商工会議所(JBC)とジェトロが、アラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置く日系企業に対して実施した「新型コロナウイルス対策と影響に関する緊急アンケートPDFファイル(1.7MB)」(3月に続く2回目、6月2~4日にて実施)では、回答135社のうち、92%に当たる124社(全回答企業のうち、「影響はない」「該当なし」と回答した企業を除いた企業数)が「売上の落ち込み」に影響があると回答した(注)。本稿では、日系企業に生じているビジネスへの影響について紹介する。

売り上げ・物流への影響

「売上の落ち込み」については、46社(全体の34%)が「甚大な影響がある」、58社(43%)が「影響がある」と回答し、「影響はない」は3社(2%)にとどまった。新型コロナウイルスだけでなく、原油価格の下落も影響を与えているとのコメントがあった。物流についても、「甚大な影響がある」(20社、15%)「影響がある」(52社、39%)を合わせて半数以上(54%)となった。「海外自社工場やサプライヤーからの部品調達納期遅れが著しく、自社からの出荷・売上に大きく影響している」「特にアフリカは物流や金融機関が機能していない国があり、商品出荷がほぼできていない」などの声も聞かれた。ドバイを中東・アフリカ地域へのビジネス拠点としている企業も多く、「外国出張ができず、販促やマーケティング活動ができない」など、移動の制約により営業活動にも支障が出ている。

取引先の資金繰りに不安

自社の資金繰りについては、「影響はない」との回答が34%(46社)と最大で、「甚大な影響がある」と回答した企業は6%(8社)となった。一方、取引先の資金繰りについては、「甚大な影響がある」「影響がある」を合わせて半数以上(57%)となった。プロジェクトの延期や中止の連絡、商品代金の支払遅延などの具体的な事例も聞かれた。UAE中銀は、資本流動性確保のため1,000億ディルハム(約2兆9,180億円、1ディルハム=約29.18円)規模の刺激策をとるなどしているが、足元の経済では資金繰りに苦しむ企業も多く、日系企業にも影響が及んでいることがうかがえる。

事業正常化見込みは「2021年以降」

新型コロナウイルス感染拡大が収束し、事業が正常化する時期の見込みについては、2020年内が27%(37社)、2021年上半期が38%(51社)、2021年下半期が21%(28社)、2022年以降が13%(17社)となった。7割超が2021年以降と見ており、43%(58社)が海外拠点の事業戦略やビジネスモデルの見直しを実施している(またはその予定)と回答した。

(注)「売上」は、アンケートに回答した在UAE日系企業が関係するビジネスの売り上げを指す。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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