7月4日からロックダウン緩和の第3段階に移行、条件付きで対人距離1メートル許容へ

(英国)

ロンドン発

2020年06月24日

英国のボリス・ジョンソン首相は6月23日、イングランドで7月4日にロックダウン緩和の第3段階(2020年5月11日記事参照)に移行することに伴う施策の内容を公表。19日には、5月に導入した「新型コロナウイルス警戒制度」の警戒水準が4(感染が広範に流行、伝染が高水準または急激に増加)から、3(感染が広範に流行)に引き下げられており、政府は当初予定どおり緩和に踏み切ることを決定した。

7月4日の最大の緩和措置は、対人距離2メートルの義務の緩和だ。可能な限り2メートルの確保を勧告しつつ、困難な場合は対面着席の回避や職場レイアウト変更、アクリル板やフェイスカバーの使用といった「緩和策(Mitigations)」を条件に、1メートルの対人距離を許容。飲食店などにとっては売り上げに直結する問題で、政府・与党内からも2メートル規制の緩和を求める声が上がっていた。

同日から可能になる主な活動は以下のとおり。

  • 飲食店やパブなどの店内営業。ただし、着席での飲食に限定。従業員・利用客の接触は最小限にすることを推奨。国営医療サービス(NHS)が5月28日から実施している感染者接触追跡活動を支援するため、事業者は利用客の連絡先保管などを求められる。
  • ヘアサロンなどの営業。従業員がフェイスシールド着用など感染防止策を講じることが条件。ネイルサロンなどは引き続き閉鎖。
  • 宿泊施設、娯楽・観光施設、野外運動施設、映画館、美術館などの営業。ナイトクラブや屋内ジム、プールなどは閉鎖を継続。
  • 2世帯間での屋内集会(人数上限なし)。屋外での集会は世帯数を問わず最大6人(6月1日から継続)、または2世帯間に限り人数上限なく可能。
  • 屋外での余暇・スポーツ活動。他者と接触するチーム競技は同一世帯内に制限。
  • 宗教施設での礼拝、儀式。結婚式は最大30人までで実施可能。

7月6日から、自主隔離が義務付けられていた基礎疾患保有者など約220万人について、既に許可されている運動のための外出に加え、屋外での同居家族以外の1世帯との6人以下の面会を認める。同月末で自主隔離の義務を撤廃。既に一部の学年で通学が再開している小中学校は9月に全面再開。

一方、政府は6月18日、5月の供用開始を目指していた感染者接触追跡アプリの独自開発を断念、米グーグルとアップルの技術を用いた別アプリ開発への移行を正式に発表するなど、緩和を支える仕組みとして描いた方策にほころびも出ている。

(宮崎拓)

(英国)

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