4月の米鉱工業生産指数、新型コロナウイルス感染拡大の影響で過去最大の減少幅を記録

(米国)

ニューヨーク発

2020年05月26日

米国連邦準備制度理事会(FRB)の発表(5月15日)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、4月の鉱工業生産指数は前月比11.2%減の92.6と、統計開始(1919年)以来最大となる減少幅を記録した(添付資料図参照)。FRBは、新型コロナウイルスの世界的流行を受けて、多くの工場が月間を通じて操業停止や遅延をしたことが影響したと指摘した。

業種別には、製造業(13.7%減、85.5)は、過去最大の減少幅を記録し、中でも自動車・同部品(71.7%減)の減少幅が大きかった。前月と同様に、自動車・同部品は需要減を受けた主要メーカーによる生産一時停止が影響した。

鉱業(6.1%減、123.4)と公益事業(電力・天然ガス)(0.9%減、99.3)も減少したが、原油価格(WTI)が1バレル当り29.21ドルから16.55ドルへと大幅下落(43.3%減)したことなどが影響したとみられる。

設備稼働率は64.9%で、前月(73.2%)から8.3ポイント低下するとともに、長期平均(1972〜2019年:79.8%)を14.9ポイント、2009年6月に記録した最低値(66.7%)を1.8ポイント下回った。業種別には、製造業が61.1%(前月:70.8%)、鉱業が81.7%(87.2%)、公益事業(電力・天然ガス)が71.1%(71.9%)と、いずれも前月から低下した。製造業は、2009年6月に記録した最低値(63.7%)を2.6ポイント下回った。

米国証券会社アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンレー氏は「(OEMや主要サプライヤーの)大きな工場における自動車生産は5月18日に再開される予定で、5月の製造業活動は(4月と比べて)回復していくだろう」と述べた(「CNBCニュース」電子版5月15日)。また、米国調査会社ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏は「現在も続いているサプライチェーンの混乱と需要の弱さを受けて、生産の見通しは依然として弱いままだが、州(の経済)や工場が再開していくことで(4月の)低水準からは回復していくだろう」と指摘した(「マーケットウォッチ」5月15日)。

(権田直)

(米国)

ビジネス短信 f9d023b575fb0b61