EEC事務局、ウタパオ空港拡張の正式契約に向け前進

(タイ)

バンコク発

2020年05月12日

東部経済回廊(EEC)事務局は、4月27日の小委員会で、タイ東部ラヨーン県のウタパオ空港拡張のための官民連携(PPP)事業について、BBS連合(注)が優先交渉権を持つことをあらためて確認し、早期に契約手続きを進めるよう、政策委員会に提案した。ウタパオ空港およびその周辺では、(1)第3旅客ターミナル、(2)商業施設・地上交通センター、(3)航空機整備・保守施設、(4)保税施設、(5)貨物施設、(6)航空訓練施設を整備・運営し、航空都市を開発する計画がある。今回の事業は(1)(2)(4)(5)で構成され、事業総額は2,900億バーツ(約9,570億円、1バーツ=約3.3円)に上る。

本案件はこれまで、3つの企業連合で争われてきたが、2020年1月の価格審査でBBS連合が他の2連合よりも入札額で優位に立ち、優先交渉権を獲得した。EEC事務局の発表によれば、成田国際空港がBBS連合を支援する旨も言及されており、今後の日系企業の空港・航空関連ビジネスへの波及が期待される。

同空港は、主に軍用として使用されていたが、観光地であるパタヤ市や産業集積が進むマプタプット港が近いことから、ここ数年で旅客数が大幅に増加している。2015年の旅客数は約17万人だったが、2018年に約186万人まで増加した。2019年には増え続ける需要に対応するため、第2旅客ターミナルが開設され、受け入れ可能旅客数は300万人に増強された。EEC事務局は、第3旅客ターミナルの開業予定を2023年としていたが、現時点で既に当初の工期から1年遅延しており、2024年以降の開業となる見込み。

写真 現在の旅客ターミナル構内(ジェトロ撮影)

現在の旅客ターミナル構内(ジェトロ撮影)

写真 現在の貨物施設(ジェトロ撮影)

現在の貨物施設(ジェトロ撮影)

(注)バンコク・エアウェイズ(45%出資)、BTSグループホールディングス(35%出資)、シノ・タイ・エンジニアリング・アンド・コンストラクション(20%出資)の3社が出資する企業連合。

(水村竹秀)

(タイ)

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