国家非常事態を5月30日まで延長、経済への影響緩和へ企業向け税制措置導入も

(モザンビーク)

マプト発

2020年05月15日

モザンビークのフィリペ・ニュシ大統領は4月29日、新型コロナウイルス感染拡大防止策として4月1日に宣言した同月末までの国家非常事態(2020年4月16日記事参照)の30日間延長を発表した。国家非常事態は5月30日まで続くこととなる。今回の発表に当たり、外出制限などを伴う警戒レベルの引き上げはなく、公共の場所でのマスク着用義務付けなどにとどまった。保健省によると、国内での感染者数は5月6日時点で81人(検体数3,041件)となっている。

国家非常事態延長に先立ち、4月27日付法令第23/2020号で、経済活動への影響を緩和するための税制特別措置を規定した。この法令では、法人税と個人所得税のそれぞれ一部に対する支払い免除、支払日の2021年への繰り延べ(第3条)、付加価値税還付対象の拡大(第4条)などを盛り込んでいる。法人税の特別措置適用は、2019年の年間売り上げが250万メティカル(約3万7,500ドル、1メティカル=約0.015ドル)未満の中小企業を対象としており、それ以外の製造事業者などからは適用対象の拡大を求める声が上がっている。

資源ビジネスにも影響は及んでいる。米国エクソンモービルによるエリア4天然ガス田の最終投資決定延期の発表(2020年4月17日記事参照)に続き、北部テテ州のモアティゼ炭鉱で三井物産と共同で採炭事業を進めるブラジル資源大手ヴァーレは、新型コロナウイルス感染拡大による世界的な石炭需要の減少を受け、800万~1,000万トンとしていた2020年の生産目標を撤回。加えて同社が2019年11月に発表していた同炭鉱施設のメンテナンス(2019年12月17日記事参照)も物資や人員調達が困難なため延期すると発表した(「クラブオブモザンビーク」5月2日)。

(松永篤)

(モザンビーク)

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