第1四半期のGDP成長率、前年同期比2.97%に減速

(インドネシア)

ジャカルタ発

2020年05月13日

インドネシア中央統計庁(BPS)は5月5日、2020年第1四半期(1~3月)のGDP成長率が前年同期比2.97%と発表した。2001年第1四半期以来の最低となる。同国はこれまで5.0%前後の安定的な成長を維持していたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け成長率が鈍化した格好だ。4月以降、首都ジャカルタを含む主要な経済地域で事業活動の制限措置が導入されており、感染拡大が早期収束せず措置が継続すれば、通年で景気後退に陥る予測も出ている。

BPSのデータによると、インドネシアのGDPの約58%を占める家計消費が2.84%増と低水準にとどまったことが、成長率鈍化の大きな要因となった。また、GDPの約32%を構成する投資も1.70%増と減速した。そのほかでは、政府支出は3.74%増で前期の0.48%増から加速。輸出は0.24%増、輸入は2.19%減となった。

国営マンディリ銀行の経済レポートによれば、家計消費の中でも特に服飾・靴・メンテナンスサービス(前年同期比3.29%減)、交通・通信(1.81%減)がマイナス成長になっている。安定的に5%以上の成長率を維持してきたレストラン・ホテルも2.39%増にとどまり、前期の6.18%増から大きく減速した。他方、食品・飲料、保健・教育はそれぞれ、5.10%、7.85%の増加で、前期から加速した。

生産面からみると、GDPの約2割を占め、3%台後半の成長率を維持してきた製造業は2.06%の成長にとどまった。農林水産業、鉱業、建設、卸売・小売業もそれぞれ0.02%、0.43%、2.90%、1.60%の増加で、前期から減速した。

今後はさらなる景気後退を予想

今後の経済成長に関しては、さらなる下降を予測する見方が大勢を占める。4月以降、首都ジャカルタに加え、工業地帯の西ジャワ州や東ジャワ州が相次いで経済活動の制限措置に踏み切っている。また、5月下旬の断食明け大祭(レバラン)は例年、飲食料品や観光に対する需要が伸びる時期だが、帰省禁止や外出自粛措置の影響で需要低減が見込まれる。

第1四半期のGDPが市場予想を下回ったことを受け、マンディリ銀行は第2四半期の成長率予測をマイナス3.0%と予想しており、6月に感染がピークアウトする場合でも通年で0.02%のプラス成長にとどまるとした。「ジャカルタ・ポスト」紙によると、プルマタ銀行は6月までに感染拡大が収まらない場合、通年で0.0%からマイナス1.0%の成長になると見通している。

(山城武伸)

(インドネシア)

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