回答企業の約半数で仕事の進め方に変化、新型コロナウイルス感染拡大によるカナダ企業への影響調査

(カナダ)

トロント発

2020年05月07日

カナダ統計局が4月29日に発表した新型コロナウイルスの感染拡大によるカナダ経済への影響に関するアンケート調査(注)によると、3月31日時点で従業員の10%以上が在宅あるいはリモートで働いていたと回答した企業はほぼ半数(47.9%)に達した。2月1日時点では20.4%だったので、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、在宅・リモートの割合は2カ月で2倍以上に増加した。従業員の半数以上が在宅またはリモート勤務をしていた業種は、情報・文化(84.6%)、企業管理(73.3%)、金融・保険(69.8%)などで高かった。

また、仕事の進め方については、「顧客とのやり取りや販売方法について、新たな方法を取り入れた」(45.4%)、「社内でバーチャルなコミュニケーションを増やした」(38.1%)、「外部とのバーチャルなコミュニケーションやeコマースの使用を増やした」(36.5%)などの回答が多かった。

2メートルの社会的距離を確保する感染拡大防止対策により悪影響を受けていると回答した企業は全体の4分の3近く(72.3%)に上った。業種別では、宿泊・飲食サービス(90.8%)、芸術・芸能・娯楽(90.3%)、ヘルスケア・社会扶助(87.0%)、教育(86.7%)で高かった。一方、農林水産・狩猟では、社会的距離を確保することはビジネスに影響しないと回答した企業は52.5%に達した。また、この感染拡大防止のための社会的距離の規制が継続された場合に、どのくらい完全または部分的に稼働を続けられるかとの問いに対して、「半年以上」と答えた企業は32.1%で、「3カ月から半年」が11.9%、「3カ月未満」が22.2%となった。

調査を実施したカナダ商工会議所のチーフエコノミスト、トレビン・ストラットン氏は「この調査は、新型コロナウイルスの影響に対して、カナダの各企業がどのように適応、管理、または残念ながら失敗しているかについての初めての包括的な見解である。同時に、この調査では、回答企業が迅速に社会的距離を確保することに適応し、経済の再開に向けて準備をしているかが分かるだろう」と述べた。

(注)新型コロナウイルスの感染拡大や必要不可欠なビジネス以外の職場閉鎖命令などの制限がカナダ経済に与える影響を明らかにするため、カナダ統計局とカナダ商工会議所が共同で実施したもの。4月3日から24日にかけてオンラインにより行い、1万2,630社が回答。

(酒井拓司)

(カナダ)

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