物流拠点での新型コロナ水際対策や貨物手数料の減免措置を通じて企業活動を支援

(エチオピア、ジブチ)

アディスアベバ発

2020年05月15日

エチオピア最大の物流拠点であるモジョ内陸コンテナデポで新型コロナウイルスに関する検査が始まった。政府系メディア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが5月11日付で伝えた。長距離トラック運転手などが対象で、感染拡大防止の水際対策強化の一環とみられる。エチオピアでは、空路入国者には14日間の指定ホテルでの自己隔離を義務付けている。陸路の国境は閉鎖中で、人の往来を禁止しているが、貨物の通行は認めている。重要物流拠点での検査開始は、国内の感染拡大を防ぎつつ、経済活動を維持する動きだ。

モジョ内陸コンテナデポは輸入貨物の70%以上が通過し、トラックだけでなく、ジブチとの鉄道も接続されている。エチオピアの海上輸出入貨物は、およそ95%が隣国ジブチ経由だ。そのジブチの感染者数は1,227人で、10万人あたり感染者数(124.19人)はアフリカ諸国で最も多い(ジョンズ・ホプキンス大学、2020年5月12日時点)。ジブチ政府は3月18日に全商用機を運行停止、3月23日に国境封鎖(貨物輸送を除く)、翌24日には全国規模での自宅待機などを順次打ち出し、4月にも新たな措置を導入・延長してきた。直近では、マハムッド・アリ・ユスフ外務・国際協力相が5月17日までの国家封鎖の延長を明らかにしている(5月10日付ツイッター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。エチオピアにとってジブチの感染拡大は心配の種であり、今回の検査開始で国内の感染拡大防止に万全を期す。

新型コロナウイルス感染防止対策の拡充に加え、モジョ内陸コンテナデポは輸出拠点でもあり、物流面の支援の動きもある。エチオピアでは、海外諸国の都市封鎖などを受け、輸出先市場の需要減少に見舞われている。海外から誘致した縫製産業は、欧米市場を主な輸出先としており苦境に立つ。物流面での輸出製造業支援として、国営エチオピア船舶物流サービス公社は2020年5月1日から国家非常事態宣言の終結までの期間中、モジョ内陸コンテナデポの各種取扱手数料を50%、同公社を通じた輸出貨物の船賃を73%減免している。ジブチ・エチオピア鉄道公社は輸出貨物のジブチまでの輸送料を最大5ヵ月間免除している(エチオピア投資委員会5月4日付週報)。輸出海上貨物の出口であるジブチでも4月16日から60日間、エチオピアからの輸出貨物の港取扱い料を無料にしている(ジブチ港湾フリーゾーン庁令NO.2020/APZFD/01)。

(関隆夫)

(エチオピア、ジブチ)

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