米国との自由貿易協定、第1ラウンド終了

(英国、米国)

欧州ロシアCIS課

2020年05月20日

英国政府は5月18日、米国との自由貿易協定(FTA)交渉の第1ラウンドを5月5~15日の間で実施したことを発表した。新型コロナウイルス感染拡大を受け、テレビ会議で行われ、両国の約200人の交渉担当者が28分野の異なる交渉グループに分れ議論した。また、双方は前例のない新型コロナウイルス感染拡大の状況を認識し、同感染の影響が終息した後の経済回復を支援することに重点に置いた。

交渉開始にあたり、エリザベス・トラス国際貿易相は「米国は最大の貿易相手国であり、米国とのFTAは、英国が新型コロナウイルスの影響による経済的課題から立て直すことへの助けとなる。また、英国企業に新しい機会、より多くの投資、より良い雇用を創出する野心的な協定としたい」と述べた。

交渉は前向きで建設的に議論され、今後の交渉のための野心的な次のステップへと進むことに合意し、多くの分野で進展があったとした。また、準備作業により、将来の2国間貿易関係を形成する多くの実質的な分野で迅速に交渉を進めることができるとした。双方は、特にサービス、投資、デジタル貿易の分野で、高水準の合意を目指すことを表明した。さらに、企業に新しい機会を創出し、労働者、消費者、農家に利益をもたらすことを約束、双方が中小企業の支援・協力を迅速に追求していくことも確認した。

第2ラウンドでは、6月15日の週と22日の週で行われ、第1ラウンド同様、FTAに含まれる全ての分野が議論される。

交渉開始に先立ち、各業界団体がコメントを発表

英国産業連盟(CBI)のキャロライン・フェアバーン事務局長は5月4日、交渉開始は企業への朗報であるとした上で、「両国は既に世界最大の投資交流があり、野心的な協定により英国の全ての地域と国にビジネスの機会が提供される。また、熟練人材が両国間を移動しやすくなることにより、輸出を行う中小企業の大きな助けとなり、将来の産業の世界標準の形成の足掛かりになるだろう」とコメントした。英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長も同日、「英国の中小企業が米国パートナーとの貿易を拡大し、両国間の国境を越えて商品、人、データをよりスムーズに移動する方法を支援する点に重点が置かれていることを歓迎する」とコメントした。

(宮口祐貴)

(英国、米国)

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