燃料電池自動車のモデル都市選定計画が進む

(中国)

上海発

2020年05月15日

中国における燃料電池自動車(FCV)に関しては、4月23日に発表された「新エネルギー車への財政補助政策に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、通知)で、購入補助金から産業サプライチェーン構築の奨励に軸足を移す方向性が示された(2020年4月30日記事参照)。通知では、モデル都市に奨励金を与える方策を取るとしていたが、今回、財政部は新たに北京市、山西省、上海市、江蘇省、河南省、湖北省、広東省、四川省に対し、「燃料電池自動車モデル推進展開に関する通知」(以下、モデル推進通知)で意見聴取稿を発出し、モデル都市の条件や奨励金を得るための基準などを示した(「氫雲鏈」5月10日)。

モデル推進通知では、モデル都市の条件として(1)コア部品、コア材料などの産業基盤があること、(2)すでにFCV発展計画や行動方案など支援策を有し、少なくともFCVが50台普及していること、(3)水素ステーションを1カ所建設運営していること、これらのいずれか1つ以上をクリアしていることを求めている。対象期間は2020年から2023年末までの4年間で、モデル都市は以下に定める目標の達成に向け努力しなければならない。

モデル目標の内容については、(1)技術イノベーションと産業サプライチェーン建設として、コア材料、コア部品の技術的突破と産業化を目指し、モデル地区において少なくとも500台のFCVのデモ運行を行う、(2)新技術車両の推進応用として、技術指標に合致したFCVを1,000台以上の規模で普及させ、累計車両運行距離(単年で3万キロメートル)を満たす、(3)水素供給と水素ステーション建設として、経済的かつ安全な水素供給源を保障し、15カ所を超える水素ステーションを建設運営する、(4)政策法規環境の整備として、水素ステーション建設運営、FCV普及使用、安全監督管理などの政策体系を整備することが含まれている。

モデル都市に対する奨励金は、上記の目標の達成度合いによって支給額が異なる。技術レベルの高い都市や新技術車両の普及が多い都市、また、目標達成までの期間が早い都市ほど多くの奨励金が受けられる。モデル推進通知が実施されれば、対象となった8省市におけるFCVや水素ステーション、および関連する部品や材料の開発が加速する可能性がある。

(高橋大輔)

(中国)

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