アルゼンチン政府、デフォルト回避へ債務再編交渉継続を表明

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2020年05月12日

アルベルト・フェルナンデス大統領は5月9日、マルティン・グスマン経済相と688億ドルに及ぶ、アルゼンチン政府と債権者との公的債務再編計画について協議した。

政府は4月22日、債権者に対し再編案を提示していた(2020年4月23日記事参照)が、2割弱の債権者からしか合意が得られなかった。当初は7割の債権者からの合意を目指していた。これを踏まえ、政府は債務不履行(デフォルト)を避けることを念頭に、引き続き債権者と協議することを表明した。なお、その後、政府は決議221/2020を発令し、交渉期限を5月22日まで延長した。

5月8日に交渉期限を迎えていた本再編案について、主要債権者グループは一律拒否した一方、政府側もこれ以上の譲歩はないとして、交渉は膠着(こうちゃく)状態に陥っていた。交渉期限の直前には、ジョセフ・スティグリッツ氏、ジェフリー・サックス氏、トマ・ピケティ氏といった欧米の著名な経済学者らがアルゼンチン政府の提案を支持する声明を発表する動きもあったが、合意には至らなかった。

5月10日付の現地紙「インフォバエ」によれば、政府側、債権者側ともにデフォルトを避けたいという点では一致している。今後の交渉の焦点は、支払い猶予期間の短縮化、新規債券の利率の引き上げ、元本カットの撤回などだとされている。なお、アルゼンチン政府は、4月22日に国債の利払いを停止しており、その猶予期間が終わる5月22日までにアルゼンチン側が利払いを行わなかった場合はデフォルトとなる。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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