米商務省、移動式クレーンの輸入に対する232条調査へのパブコメ募集を発表

(米国)

ニューヨーク発

2020年05月25日

米国商務省・産業安全保障局(BIS)は5月22日、移動式クレーンの輸入に関わる1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく調査開始に伴い、パブリックコメントを募集すると明らかにした。正式には5月26日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示する。7月10日にコメントは締め切られ、商務省は調査開始から270日以内に大統領に報告書を提出する。

パブコメの対象は、5月6日の商務省プレスリリースで232条に基づく調査を開始すると発表された移動式クレーン(2020年5月8日記事参照)。ただし、輸入に際して具体的な製品を特定するHTSコードは、現段階では開示されておらず、パブコメを基に精査されると見られる。

232条に基づき、同製品が安全保障上の脅威かを判断する上で、BISは以下に関するコメントを重点的に募集する。国内産業・市場の動向に加え、海外との競争状況やそれらが国防に与える影響などが考慮される。

  1. 該当製品の輸入量、またはその他の状況
  2. 想定される国防上の要件を満たすために必要な国内生産量および生産能力
  3. 現在および将来において、生産に投入可能な人的資源、製品、部品、原材料、製造設備、施設
  4. 国防上の要件を満たすために必要な産業の成長条件および(または)その成長の実現に不可欠な供給およびサービスに関わる条件(投資や探査、開発を含む)
  5. 外国との競争が該当製品にかかる産業の経済厚生に与える影響
  6. 該当製品の国内生産からの移管により生じる問題(大量の失業や政府の歳入減、投資または特殊技能に関わる損失、生産能力、その他重大な影響をもたらす恐れがあるもの)
  7. 米国経済の弱体化をもたらす関連要因
  8. その他関連要因〔例:「重要インフラ」(注1)〕分野での製品の使用実績およびその重要性)

パブコメは7月10日まで受け付けており、企業・業界団体などはBISが指定するウェブサイト(注2)にコメントや関連情報を提出することが可能。コメントは機密情報を除き原則公開され、その後8月10日までそれらコメントに対する反論機会が与えられる。パブコメ後の公聴会が開催されるかは現時点で不明だが、開催される場合は別途、官報で周知するとしている。

(注1)大統領によって「重要インフラ」と位置付けられている産業は、サイバーセキュリティ・インフラストラクチャー・セキュリティ庁(CISA)ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認可能。

(注2)パブリックコメントを含めた提出先は連邦ポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますのドケット番号BIS-2020-0009となっている。

(磯部真一)

(米国)

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