感染拡大抑制が喫緊の課題に、感染者の半数を20~30代、ダッカ市居住者が占める

(バングラデシュ)

ダッカ発

2020年05月12日

バングラデシュでは4月中旬以降、新型コロナウイルスの1日当たりの感染者数が増加の一途をたどっており(添付資料図1参照)、累積感染者数は5月4日に1万人を超え、死者数は5月11日時点で228人に達している。1日の感染者数が100人以上となった4月12日から5月7日までの感染者が全体の96%を占め、この1カ月間での感染拡大が続いており、ピークアウトの傾向はいまだみえていない。

政府は、感染者が初めて確認された3月以降、国民への自宅待機要請・移動制限と並行し、同国経済を支える縫製業をはじめとした輸出志向型産業への特別ローン制度や、貿易促進・企業の資金調達のための規制緩和などを打ち出している。感染拡大の状況を踏まえ、5月4日にはオフィスなどの営業停止・自宅待機期間が再延長された一方、限定的ではあるが、商業活動の再開に向けた動きも出始めている(2020年5月8日記事参照)。

また感染者の特徴として、政府機関のバングラデシュ伝染病研究所の発表(5月7日付)によれば、年齢層別では21歳~30歳の感染者の割合が最も高く(26%)、次いで31歳~40歳が24%と、これらの年齢層が全体の半分を占めている(添付資料図2参照)。

性別では、感染者・死亡者とも約7割が男性だ。また、地域別にみると、人口密度が世界最大規模とされる首都・ダッカ市の感染者が過半数の58.7%を占める。

縫製品製造業・輸出業協会(BGMEA)が出したガイドラインによると、感染者総数の約82%はダッカと同近郊の5県、ガジプール(北側)、キショルゴンジ(北側)、ノルシンディ(東側)、ムンシゴンジ(南側)、ナラヤンゴンジ(南側)が占めており、操業時には特別警戒の必要があるとしている。現地で操業する日系企業は従業員の出勤率を抑え、ソーシャルディスタンスを保つなどして、感染対策を講じている。

政府や産業界にとっては「感染拡大抑制」の課題が切迫しており、刻々と変化する当地情勢に、引き続き注視する必要がある。

(山田和則、安藤裕二)

(バングラデシュ)

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