4月の就業者数は59万4,000人減、失業率は6.2%に上昇

(オーストラリア)

シドニー発

2020年05月18日

オーストラリア統計局(ABS)は5月14日、4月の雇用統計を発表し、就業者数(季節調整値)が前月から59万4,300人減少したことを明らかにした。失業者数は前月から10万4,500人増加し、失業率は1.0ポイント悪化して6.2%となった。

今回の統計は3月29日から4月11日を対象期間としているが、その時期は社会的距離の制限措置が導入され(2020年3月26日記事参照)、連邦政府による賃金補助制度の発表(2020年4月1日記事参照)が行われたタイミングであることから、制限措置による影響や、それに対する政府、企業、個人の対応などが反映された結果と見ることができる。

就業者数の減少と失業者数の増加の差が48万9,800人生じている点について、ABSは、労働市場から離れる人々が増えていることを指摘している。労働参加率を見ると、前月から2.4ポイントと大きく低下し、63.5%となった。ABSは、「仕事を探すことをあきらめた、または探すことができなかった人々が多数存在していたことを意味する」と説明している。

今回の結果を受けて、スコット・モリソン首相は、「予想外ではないが衝撃的な結果であり、オーストラリアにとって非常に厳しい日となった」と述べた。また、連邦政府による賃金補助制度について、「86万社以上が登録を済ませ、600万人以上が受給対象となっており、これらの企業が雇用を継続できているのは同制度の効果によるものだ」として、その重要性を強調した。なお、同制度については、6月末に現状を踏まえた見直しが予定されている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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