経済回復に1年以上を要するとの声、米シカゴ連銀ベージュブック報告

(米国)

シカゴ発

2020年05月29日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は5月27日、地区連銀経済報告(ベージュブック)(注1)を公表した。

米国中西部の一部地域(注2)を管轄するシカゴ連銀の報告によると、2020年4月から5月上旬にかけての経済活動は、新型コロナウイルスのまん延により急激に低下した。今後の3カ月間で経済活動がさらに低下するか、または回復するかについて、関係者の回答は割れる結果となったものの、その多くは経済が完全に回復するまでには1年以上必要、とした。

個々の調査対象項目については、4月から5月上旬までの調査期間を通じて、雇用者数、個人消費、企業支出はそれぞれ大幅に減少し、同様に、建築業、不動産業、製造業、農業分野におけるそれぞれの経済活動も大幅に低下した。なお、雇用に関しては、失業手当の充実によって労働者の雇用継続や確保が難しい、との回答がみられた。賃金については、自宅待機命令下においても活動が認められる必須(essential)の経済活動の従事者に対する手当の支給などによって、上昇した。物価については、全体的にはほとんど変動がなかったが、食料品の小売価格や一部の仕入れ価格が上昇した一方で、宿泊施設の料金は大幅に低下したとされる。金融については、「控えめ(modestly)」に改善した。

個々の調査対象項目ごとのポイントは添付資料参照。

(注1)連邦公開市場委員会(FOMC)の開催に先立ち、年8回公表されており、銀行からの報告や、ビジネス関係者などの声を基にまとめたもの。

(注2)アイオワ、イリノイ北部、インディアナ北部、ウィスコンシン南部、ミシガン南部。

(藤本富士王)

(米国)

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