連邦議会、コロナ渦中での賃貸入居者立ち退き禁止法案を可決

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年05月26日

連邦議会は5月19日、新型コロナウイルスの影響で家賃支払いなどが困難となっている賃貸入居者への立ち退き強要を禁止する法案(2020年1179号)を承認した。今後、大統領の裁可を経て発効することが見込まれる。同法案は経営が行き詰まった店舗テナントや、賃貸住宅入居者を救済するために、欧米の事例を参考に草案されたもの。対象期間は、政府が新型コロナウイルス感染拡大に伴い緊急事態を宣言した3月20日から10月30日まで。

同法案が発効すれば、家主と借主との間の賃貸契約締結が維持され、借手が家賃支払いの滞納などで契約を順守できない場合も、家主は借手に立ち退きを通知できなくなる。シモーネ・テベチ上院議員は、「人の行動が制限されている中で、仮に賃貸物件入居者が家主から立ち退きを通知されても、別の物件を借りることが難しい」と同法案可決の意義を強調している。

現行法では、借主が家賃未払いの場合、家主は借主に対して30日以内に立ち退きするよう通知できる。このほか、現行法では以下の条件を満たした場合、家主は15日以内に立ち退き通知できる。

  • 雇用契約に基づき賃貸物件を従業員が借りているケースにおいては、同契約が解約もしくは消滅した場合。
  • サブリース(転貸)先が家主と転貸人との賃貸契約終了後も居座る場合。
  • 保証人が不在となり、借手が30日以内に新たな保証を提示しない場合。
  • 店舗など非住宅用不動産の契約で定められたリース期間が終了した場合。

(大久保敦)

(ブラジル)

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