チェコ中銀が再度利下げ実行、2020年のGDP成長率はマイナス8%の見通し

(チェコ)

プラハ発

2020年05月13日

チェコ国立銀行(中央銀行)は、5月7日の定例金融政策会議で、政策金利を0.75ポイント引き下げ、0.25%とすることを決定した。同時にロンバートレート(債権担保貸付金利)を1.0ポイント引き下げ、1.0%とした。ディスカウントレート(割引率)は0.05%で据え置いた。

新型コロナウイルス感染拡大による経済影響緩和策としての政策金利利下げ決定は、3月16日の0.5ポイント引き下げ(2020年3月18日記事参照)、3月30日の0.75ポイント引き下げ(2020年3月30日記事参照)に次いで今回で3度目となった。

中銀は、今回の決定について、最新のマクロ経済見通しに基づくものと説明している。同日同行が発表した最新経済見通しでは、2020年のGDP成長率は前年比で8.0%の減少と予測されている(添付資料表参照)。これは政府による経済活動制限緩和、および大半の産業部門における経済活動再開が第2四半期になされることを前提としたものであるが、失業率増大、さらに企業、世帯の全体的な経済状況のセンチメント悪化の影響が依然として持続することから、特に固定資産形成においてマイナス9.8%と大幅な落ち込みが予想されている。また外需の大幅減退により、輸出も21.4%減少するとみられている。

2021年のGDP成長率は、4.0%増大に転じると予想されているが、中銀のイジー・ルスノク総裁は、会議後の記者会見で「プラス成長に転じるとはいえ、来年末までに、経済が新型コロナウイルス感染拡大前のレベルまでに回復することはない」と述べた。

一方、消費者物価平均上昇率は2020年2.8%、2021年2.1%、平均失業率はそれぞれ4.1%、5.6%(ただし、チェコ労働・社会福祉省採用方式。ILO方式ではそれぞれ3.5%、4.8%)と中銀は予測している。こうした予測に基づき、ルスノク総裁は、現在の低金利状態は恐らく長期化するであろうと述べている。

統計局の発表によると、3月の消費者物価上昇率は前年同月比3.4%で前月より0.3ポイント低下、輸出は前年同月比13.3%減少、輸入は9.9%減少だった。また3月の工業生産は前年同月比10.8%減少、小売売上は9.3%減少と落ち込んだ。労働局の発表によると、4月の失業率は3.4%で、前年比0.4ポイント上昇した。

(中川圭子)

(チェコ)

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